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簡便に使用できるウェルシュ菌エンテロトキシン遺伝子
cpe、becA、becB)に対するマルチプレックスPCR法

 ウェルシュ菌は食中毒の原因菌の一つであり、その病原因子としてClostridium perfringens enterotoxin (CPE) が知られていました。ところが、当所では2009年と2010年にウェルシュ菌による食中毒が強く疑われるにもかかわらず、分離されたウェルシュ菌からCPEが検出されない事例を経験しました。そして、このウェルシュ菌から新規エンテロトキシンBEC (binary enterotoxin of C. perfringens)を同定しました1)。BECはBECa(becA)とBECb(becB)で構成される2成分毒素であり、ADPリボシル化2成分毒素に分類されることが分かっています1)

 BECの同定によりウェルシュ菌による食中毒が疑われる場合、CPEとBECの両方を標的として検査することが必要となり、これらを同時に検出できる系の構築が望まれました。当所ではcpe遺伝子、becAおよびbecB遺伝子と全てのウェルシュ菌が保有するホスホリパーゼC(plc)遺伝子をコントロールとして同時に検出できるマルチプレックスPCR法を構築し2)、3)、検査に応用しています。本法は比較的良好な感度と高い特異性を有しており、市販試薬を用いて通常のPCRが行える検査室において簡便に実施できます。

 以下にその実施例をご紹介します。

1. 試料からのDNA抽出法

 1)器具および試薬

 2)分離菌からのDNA抽出法(アルカリ熱抽出法)

2. マルチプレックスPCR法と電気泳動

 1)器具および試薬

 2)PCR反応

 3)アガロースゲル電気泳動

3. 本法の感度と特異性(文献3参照)

 <感度について>

 <特異性について>

参考文献

  1. Yonogi, S., Matsuda, S., Kawai, T., Yoda, T., Harada, T., Kumeda, Y., Gotoh, K., Hiyoshi, H., Nakamura, S., Kodama, T., Iida, T., 2014. BEC, a novel enterotoxin of Clostridium perfringens found in human clinical isolates from acute gastroenteritis outbreaks. Infect. Immun. 82 (6), 2390-2399. http://dx.doi.org/10.1128/IAI.01759-14.

  2. 平成26 年度 厚生労働科学研究費補助金報告書(食品の安全確保推進研究事業)食品中の食中毒菌等の遺伝特性及び制御に関する研究
    分担研究報告書(遺伝子検出法と培養法を用いたエンテロトキシン産生性非産生性ウェルシュ菌の食品汚染実態調査)
    http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD02.do?resrchNum=201426027A

  3. Yonogi, S., Kanki, M., Ohnishi, T., Shiono, M., Iida, T., Kumeda, Y., 2016, Development and application of a multiplex PCR assay for detection of the Clostridium perfringens enterotoxin-encoding genes cpe and becAB. J Microbiol Methods. 127,172-175. doi: 10.1016/j.mimet.2016.06.007.

  4. Erol, I., Goncuoglu, M., Ayaz, N.D., Bilir-Ormanci, F.S., Hildebrandt, G., 2008. Molecular typing of Clostridium perfringens isolated from turkey meat by multiplex PCR. Lett Appl Microbiol. 47 (1), 31-34. doi: 10.1111/j.1472-765X.2008.02379.x.

  5. Meer, R.R., Songer, J.G., 1997. Multiplex polymerase chain reaction assay for genotyping Clostridium perfringens. Am J Vet Res. 58 (7), 702-705.

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