大阪府感染症情報センター ものしり講座(15)


動物由来感染症:ブルセラ症

 ブルセラ症はブルセラ菌という細菌が人に感染して発症する病気です。ブルセラ症は本来動物(ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、イヌなど)の病気で、流産・死産を伴う伝染性の疾患ですが、特徴的な臨床症状がない状態で終生持続感染する場合も多く認められます。感染動物は血液に菌が入る菌血症を起こしており、雌では乳汁中へ多量の菌を排泄します。人への主な感染経路は汚染した生乳、乳製品、肉類の加熱殺菌不十分なままの摂取、流産・死産時の汚染物との接触等です。

 人に感染が起こった場合、ブルセラ菌はあらゆる臓器に感染し全身症状を引き起こします。症状としては発熱、悪寒、倦怠感、関節痛などが認められますが、特徴的な症状がなく他の熱性疾患、風邪などとの鑑別が難しいため原因不明熱と診断されている症例も多いと推測されます。慢性型では発症後数年間にわたり全身倦怠感、微熱、関節痛が続き、慢性疲労症候群様の症状を呈することもあります。ブルセラ菌は体の中では薬の届きにくい細胞内に寄生していますので、治療には強力な化学療法(抗菌薬の2剤併用、長期投与)が行われます。また治療終了後に再発が認められる場合がありますので経過観察も必要になります。

 わが国では家畜に対してのブルセラ菌検査は厳密に実施されており、国内で乳や肉を摂取することによる感染はありません。しかしイヌでは犬ブルセラ菌による感染が証明されており、国内で感染し発症したと推定される人の犬ブルセラ菌感染例も1999年以降3例報告されています。ただしこの3例はいずれもイヌとの接触歴が明かでなく感染経路は不明です。ペットフード工業会の犬猫飼育率全国調査では2006年の国内の犬飼育匹数を1,209万頭と推計しています。犬ブルセラ菌の人への感染については人の感染・発症者数および犬の飼育匹数からみてリスクは低く必要以上に警戒することはありません。しかし、飼い犬が流産をした時にはその扱いに注意が必要で、素手でさわらず、汚物の消毒方法などについては獣医に相談してください。

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