大阪府感染症情報センター ものしり講座(22)


A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

レンサ球菌  レンサ球菌はその形態が丸くレンサ状の配列をした細菌であることからこの様な名前がつけられています。この細菌の仲間には多くのものが含まれていますが、その中でもA群溶血性レンサ球菌はヒトに様々な感染症を引き起こす病原性の強い細菌として知られています。この菌の感染によって引き起こされる病気としては炎症性化膿性疾患(咽頭炎、扁桃炎などの上気道炎、肺炎、中耳炎、膿痂疹、産褥熱など)があり、さらに菌の産生する毒素が関与し体に発疹ができる場合もあります。重症例としては組織の壊死などが急激に進行する死亡率の高い劇症型溶血性レンサ球菌感染症を引き起こす場合があります。

 A群溶血性レンサ球菌による感染症で最も多いのは咽頭炎であり小児科領域での重要な感染症となっています。主として患者または保菌者の咳やくしゃみにより感染し、1〜3日の潜伏期のあと、比較的高めの発熱(38.5℃以上)、喉の腫れ・痛みが出現します。リンパ節の腫れも多くの場合にみられますが、咳や鼻汁は軽度です。患者は図に示しましたように3歳以上の子供が多く、流行は毎年、冬季および5月から6月にかけてみられます。

 今のところ予防のための有効な予防接種はなく、また流行期には患者以外にも多くの無症状保菌者がいますので感染を防ぐ手段はなかなかありません。感染した時の早期診断、適切な治療が必要になってきます。A群溶血性レンサ球菌感染症には10分程度で診断が可能な検査キットもありますので、感染が気になる時は医療機関を受診し、正しい診断を受けてください。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は風邪の一つですが、他の多くの風邪の原因微生物がウイルスであるのに対して本感染症は細菌が原因であり非常に有効な抗生剤があります。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎と診断された場合、医師から指示された期間きちんと薬を飲むことにより重症化を防ぎ、治癒を早めることができます。油断をして治療を中断したりすると続発症として急性腎炎やリウマチ熱などの治りにくい病気を引き起こすこともあります。注意してください。



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