大阪府感染症情報センター ものしり講座(23)


野山に出かけるときはダニに注意しましょう!

 野山、畑、草むら、河川敷など、野外にはたくさんの虫がいますが、そのなかには病原体を持ったダニがいる場合があります。このようなダニの生息地に入り、しばらくしてから(潜伏期間)急激な発熱や頭痛が起こった場合は、ダニ媒介性の感染症を疑うことも必要です。ここでは、ダニが媒介する日本紅斑熱とツツガムシ病という感染症について紹介します。

マダニ類  日本紅斑熱は、日本紅斑熱リケッチアという病原体を持ったマダニ類(肉眼でみえる大きさ:写真左)に刺咬されることにより感染します。この疾患は初めて1984年に徳島県で発見された疾患で、それ以後九州、四国、中国地方を中心に毎年50例程度患者が報告されていますが、2007年には98例と増加しました。全国的にマダニが活動する4〜10月にかけて患者が発生しています。

ツツガムシ  ツツガムシ病は、ツツガムシ病リケッチアという病原体を持ったツツガムシというわずか0.3mmほどのダニの幼虫(写真右)に刺咬されることにより感染します。この疾患は古くから日本の風土病として存在していたといわれており、患者は全国的に発生がみられ、最近は毎年400例程度の患者が報告されています。患者の発生は、夏にみられるもの(古典的ツツガムシ病)と、秋から冬と春の二峰性でみられるもの(新型ツツガムシ病)に分けられ、前者はアカツツガムシ、後者は主としてフトゲツツガムシやタテツツガムシによって媒介されるといわれています。

 これらの疾患は両方とも、頭痛、高熱、悪寒戦慄をもって急激に発症し、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などを伴います。主要三徴候は発熱、発疹、刺し口で、多くの症例にみられます。潜伏期間は、日本紅斑熱で2〜10日、ツツガムシ病で5〜14日といわれています。予後は比較的良好ですが、治療が遅れると重症化し、痙攣、意識障害、DIC(播種性血管内凝固症候群)などを引き起こし、死亡する場合があります。これらのリケッチア症はテトラサイクリン系抗生物質の投与による治療が有効(日本紅斑熱はニューキノロン系抗菌薬も有効)ですので、早期発見、早期治療を行うことが大切です。また、これらの疾患は最初風邪と間違いやすいので、早期発見には、最近山菜採りをしたとか、農作業中にダニに咬まれたなど、野外活動を行ったことや、活動時のできごとを医師に伝えることが重要です。

 大阪府内では、1987年から2004年にかけて、北摂、生駒や和泉山系でのキャンプやレジャーによる野外活動時に感染したと推定されるツツガムシ病の症例が報告されています。また、2001年には日本紅斑熱の報告が1例あり、他県への移動が無いことから大阪府内での感染が強く考えられます。このように大阪府内の特に山麓などの野外には、病原体を保持するダニが棲息していると考えて下さい。さらに、兵庫県や和歌山県、京都府、三重県など近隣の府県、また他のアジアの地域にもこれらの感染症は存在しており、他県や国外で感染し、府内に戻られてから発症された症例もありますので、これらの疾患をどこか頭の片隅にとどめておいていただければと思います。

 また、ダニに咬まれたからといって、必ずこのような病気にかかるわけではありませんが、これらの感染症を予防するには、ダニの刺咬を防ぐことが重要ですので、ダニが生息しそうな場所に出かけるときは、次のことに注意しましょう。

イラスト @ 肌を露出しない服装をし、忌避剤(虫除けスプレー)を使用する。
  (長袖、長ズボンを着用する。白っぽい色の服の方が虫やダニをみつけやすい)
A 直接地面に座ったり寝転んだりせず、敷物を使用し、衣服も草むらに直接置かない。
B 帰宅後はすぐに入浴して体についたダニを落とし、新しい衣類に着替える。


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