大阪府感染症情報センター ものしり講座(28)


カンピロバクター食中毒を防ぐために

 カンピロバクター食中毒の発生件数は、この10年間ずっと上位を占めています。2009年度に当所で検査した本食中毒の集団発生事例は全部で29件ありました。ほとんどが飲食店で鶏わさや鶏さしみ、タタキ、レバーを生で食べたことが原因です。

 カンピロバクターは、特に鶏に対しては病気をおこさない常在菌として腸管内に生息しており、食鳥処理の段階で鶏肉を汚染します。市販鶏肉の約70%が100 g あたり平均10〜1,000個のカンピロバクターに汚染されているといわれています。数百個程度の少ない菌数でヒトに感染をおこすため、汚染菌数の高い鶏肉の場合は生で少し食べただけでも食中毒になってしまいます。「新鮮な鶏肉だったら大丈夫!」と考える人がいますが、それはまちがっています。カンピロバクターは微好気条件下(酸素が少ない状態)でしか発育しないため、鶏肉中で菌が増えることはありません。つまり、新鮮な鶏肉ほどカンピロバクターの菌数が多く、実は危険なのです。

 内閣府食品安全委員会が実施したリスク評価のためのアンケート調査(6,000人対象)では、約30%の人が家庭か飲食店で鶏肉を生で食べることがわかりました。そして、様々なデータをもとに統計学的処理を行い、感染確率を算出したところ、鶏肉を生食しない人については、一食当たりの感染確率の平均値が家庭で0.20%、飲食店で0.07%となり、約30%の生食する人(家庭で1.97%、飲食店で5.36%)と比較して、たいへん低くなることがわかりました(微生物・ウイルス評価書 2009年6月 食品安全委員会)。

 つまり、鶏肉の生食をやめることがカンピロバクター食中毒防止にもっとも効果が高いという結果が得られたのです。
 生食しない人の中で、飲食店より家庭の方の感染確率が高いのは、調理時の交差汚染のためです。家庭で鶏肉を扱う時は、そのまま口に入れるサラダやおひたしに鶏肉のカンピロバクターがつかないよう、しっかり手を洗う、まな板や包丁を別にする、あるいは十分に洗浄、消毒をおこなうなどの対策を行うことが大切です。


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