大阪府感染症情報センター ものしり講座(39)


リステリア症をご存知ですか?

 リステリア症はListeria monocytogenesを原因菌としますが、本菌は土壌、河川、家畜や健康な人からも検出される環境常在菌です。その主症状は髄膜炎、敗血症、脳炎など重篤で、その致死率は30%を超える感染症です。感染は、本菌に汚染された食品、特に加熱しないで喫食するチーズや食肉製品・サラダなどを食べることにより引き起こされると考えられています。また、リステリア症の特徴として、60歳以上の方に患者が多いことに加え、妊娠中の方は普通の人より20倍罹りやすいとされており、流産や死産の原因となります。最近では、2008年8月にカナダで加工肉製品を原因食とする事例が発生し、57名が発症、うち23名が死亡し、昨年もアメリカのマスクメロンによる事例で、感染者数146名のうち30名が死亡しています。

 なぜ、日本で知られていないの?

 このようにリステリア症は致死率が高く、妊娠中の方が感染しやすいという特徴がありながら、我が国では注目を浴びていないのが現状です。これは、幸いなことに日本ではリステリア症による死亡者が報告されておらず、集団発生も1例のみであるためだと考えられます。しかしながら、日本でも年平均でおよそ83例の重度のリステリア症が発生していると推定されており、リステリア症は滅多に発生しない感染症ではないのです。また、リステリア症は発症までにおよそ3週間かかりますので、原因食品の特定が難しく、食中毒事件として断定できないことも要因にあると思います。

 これからも大丈夫?

 我が国の食品衛生管理は非常に優れていますが、昨年の大阪府による食品収去検査において、国産生ハムから菌量は非常に少ないのですがリステリア菌が検出されました。妊娠中の方および免疫力の低い方は、輸入または国産に関わらずナチュラルチーズや生ハムなど、加熱工程のない食品を食べることを控えるべきだと考えられます。

 厚生労働省では妊娠中の方への情報提供としてパンフレットを作成しています。
  http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/ninpu.pdf

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