大阪府感染症情報センター ものしり講座(5)


狂犬病は過去の病気ではありません!

  昨年末、京都と横浜で狂犬病患者が相次いで発生し、大きなニュースになりました。といっても、狂犬病は日本国内ではもう50年近く発生していないので、若い世代の人たちにはなじみの薄い病気かもしれません。今回の2例も、どちらもフィリピンでイヌに咬まれて帰国後に発症した輸入症例でした。

 狂犬病はその名前からイヌの病気と思われがちですが、ヒトからキツネ、アライグマ、コウモリまですべての哺乳動物がかかるウイルス感染症です。狂犬病にかかった動物に咬まれることによって、唾液中に含まれるウイルスが傷口から体の中に入って感染します。ヒトからヒトへは通常感染せず、患者さんから狂犬病感染が広がる心配はありません。潜伏期はだいたい1〜3ヶ月で、発症すればほぼ100%死亡します。英国、ノルウェー、ニュージーランドなど一部の国を除いて世界中で狂犬病が発生しており、毎年5万人以上の人が狂犬病で亡くなっています。特に患者発生が多いのはアジアの国々です(表参照)。

 海外旅行先では、むやみに飼い主のわからないイヌ・ネコ等や野生動物に近づかないようにしましょう。万が一、海外で狂犬病の疑いがあるイヌ等にかまれた場合には、すぐに傷口をせっけんと水でよく洗い、できるだけ早くワクチン接種を受けなければなりません。現地のワクチンの中には副反応の強いものがあるので、日本大使館などに相談して安全なワクチンを接種してもらってください。また、アジア、アフリカ、中南米など狂犬病流行国への旅行や長期滞在で動物と接触する可能性が高い場合には、あらかじめ予防接種をしておくことをお勧めします(http://www.forth.go.jp/)。なお、日本国内で飼い犬に咬まれたぐらいでは感染の心配はなく、ワクチン接種の必要はありません。

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