梅毒

 梅毒はTreponema pallidum subspecies pallidum(T.p.)感染症で、主として性行為または類似の行為により感染する性感染症の代表的疾患である。
 一般に、皮膚や粘膜の小さな傷からT.p.が侵入することによって感染し、やがて血行性に全身に散布されて、さまざまな症状を引き起こす全身性の慢性感染症である。
 胎児が母体内で胎盤を通して感染したものを先天梅毒と呼び、それ以外を後天梅毒と呼ぶ。
 さらに皮膚、粘膜の発疹や臓器梅毒の症状を呈する顕症梅毒と、症状は認められないが梅毒血清反応が陽性である無症候梅毒とに分けられる。
 感染症法では、梅毒は五類感染症で、医師は全例を都道府県知事に7日以内に届け出ることになっている。
 感染後3週間で初期硬結を生じるが、その時点では梅毒血清反応は陰性であっても、病変部からT.p.を暗視野顕微鏡などで直接検出するかその後の抗体価の推移で梅毒と診断したもの、カルジオリピンを抗原とする検査で16倍以上またはそれに相当する抗体を保有し、臨床的特徴を呈していないものや無症状のもの(無症状病原体保有者)は届け出る。
 ただし、陳旧性梅毒および梅毒治療後の単なる抗体保有者とみなされるものは、届け出る必要はない。
(日本性感染症学会誌、性感染症 診断・治療 ガイドライン 2011より)




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