淋菌の抗菌薬耐性化について

 近年、淋菌の抗菌薬耐性化は顕著であり、多剤耐性化が進んでいる。
 かつて使用されていたPenicillin Gの耐性菌であるペニシリナーゼ産生株(PPNG)は現在では数%以下であるが、β-ラクタム薬の標的酵素であるペニシリン結合蛋白(PBP)の変異株が90%以上を占めており、使用することができない薬剤である。
 テトラサイクリンおよびニューキノロン耐性株も80%を超えている。
 有効な薬剤であった第三世代セフェム系薬についても、耐性株が増加傾向を示し、その頻度は、30〜50%程度に達している。
 現在、第三世代経口セフェム系薬においても、常用量では無効である。経口セフェム系薬の中で、淋菌に対して、最も強い抗菌力を有するセフィキシム(CFIX:セフスパン?)の1回200mg、1日2回、3日間投与は、ある程度の効果が認められるが、無効例も多数報告されている。
 したがって、保険適応を有し、確実に有効な薬剤は、セフトリアキソン(CTRX:ロセフィン(R))、セフォジジム(CDZM:ケニセフ(R))とスペクチノマイシン(SPCM:トロビシン(R))の3剤のみである。
 これらの3剤は、淋菌性尿道炎や子宮頸管炎には、単回投与で有効であるが、咽頭感染にはセフトリアキソンの単回投与が勧められる。
(日本性感染症学会誌、性感染症 診断・治療 ガイドライン 2011より)


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