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蚊やダニなどの節足動物によって媒介される感染症について


 はじめに

 蚊やダニなど吸血性の節足動物がウイルス、リケッチア、原虫などの病原体を媒介して起こる感染症には非常に多くの種類があります。世界的には蚊が媒介するマラリアやデング熱などの流行が大きな問題となっています。日本では、蚊が媒介する日本脳炎やダニが媒介するつつがむし病が代表的です。近年になって見つかった新しい感染症もあります。ここでは最近話題になった感染症や注意すべき感染症について情報を提供します。


<目次>

◆重症熱性血小板減少症(SFTS)

◆デング熱



 重症熱性血小板減少症(SFTS)について

 平成24年(2012年)の秋に、これまで我が国では知られていなかった新しいウイルス感染症が山口県で報告されました。これは重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome、SFTS)という疾患で、発病すると高熱、嘔吐、下痢などの症状が現れ、血小板や白血球が減少し、重症化すると死亡することがあります。

 国内では2005年から2014年9月4日現在まで、96名(死亡30名)のSFTS患者が報告されています。患者は15の県(兵庫、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島)から報告されており、今のところ西日本が発生地域となっています。

 SFTSは2009年頃から中国での流行が報告され、2011年にSFTSの病原体がブニヤウイルス科に属するウイルスであることが明らかにされました。同じブニヤウイルス科に属するウイルスには、クリミア・コンゴ出血熱や腎症候性出血熱などの病原体が含まれます。2009年にはアメリカのミズーリ州でも類似のウイルスによる症例が報告されています。

 SFTSウイルスはマダニと呼ばれる比較的大型のダニ(成ダニの大きさはおよそ3mm以上あり、肉眼で見える)によって媒介されると考えられています。国内でのマダニのウイルス保有調査によると、これまで患者報告のない三重、滋賀、京都、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、栃木、群馬、岩手、宮城、北海道の各道府県でもSFTSウイルスを保有するマダニが検出されています。マダニの種類は、タカサゴキララマダニ、フタトゲチマダニ、キチマダニ、オオトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニなどですが、これらは我が国の山林や草地にも普通に分布する種類のマダニです。また、動物を対象としたウイルスに対する抗体調査から、福岡、熊本、宮崎、鹿児島、島根、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、兵庫、京都、滋賀、和歌山、三重、岐阜、富山、長野、静岡、宮城の各府県でもSFTSウイルスの存在を示唆するデータが得られています。これら調査結果から考えると、SFTSウイルスは全国的に広く存在しているものと思われます。これまでのところ大阪府でSFTS患者発生の報告はありませんが、大阪府管内においてもSFTSウイルスを保有するマダニが生息することは想像に難くありません。

 我が国にはマダニが媒介する感染症として、SFTSのほか、日本紅斑熱やライム病、ロシア春夏脳炎などがあり、日本紅斑熱では毎年100名を超える患者が発生しています。

 これらの感染症を防ぐためには、マダニに咬まれないようにする必要があります。特に、マダニが活発に活動する春から秋にかけて山林や草地へ立ち入る際には、できるだけ皮膚の露出を避け、長袖・長ズボン、絞り口付き長靴等を着用するようにします。レインウェアのようななめらかな生地にはマダニがつきにくく、白っぽい服装のほうがとりついたマダニを発見しやすくなります。帰宅後は必ず入浴し、マダニが体表についていないかをよく点検します。もしマダニがついていた場合は医療機関(皮膚科など)で取ってもらうと良いでしょう。また、ハイキング等の野外活動や山林や草地に立ち入って1〜2週間してから体調が悪い時や発熱などの症状が出た場合は、念のため医療機関を受診しましょう。

デング熱について

 デング熱はデングウイルスを持った蚊に刺されて発症する感染症です。蚊に刺されて2日〜2週間ほどしてから急な発熱とともに頭痛、目の奥の痛み、間接痛、発疹などの症状が現れます。熱帯・亜熱帯地域では各地で流行が続いており、WHOの推計では毎年5000万〜1億人が感染していると見積もられています。東南アジアなどの流行地域を訪れて感染する日本人も増加傾向にあり、大阪府でも毎年このような輸入感染症例が発生しています。

 国内では、2013年の夏に日本を訪れたドイツ人がデング熱に感染していたという症例が報告されていましたが、その後デング熱の発生をうかがわせる事例はありませんでした。しかし、2014年の8月下旬以降、海外渡航歴がなく国内で感染したと思われるデング熱の患者が次々と報告されるようになり、現在までに140人を超える症例が報告されています。感染した人のほとんどは、東京都の代々木公園や新宿中央公園などを訪れ、蚊に刺されて感染したと考えられていますが、患者の居住地は全国に散らばっており、大阪府においても3名の患者が確認されています。

 大阪府では、2003年より夏期に府内の市街地において蚊の捕集調査を実施し、蚊がウエストナイル熱ウイルス、デング熱ウイルス、日本脳炎ウイルス等を保有していないかどうか監視しています。2014年も6月下旬から10月初旬にかけて府内17カ所の定点で捕集調査を実施していますが、現在までのところ、これらのウイルスは検出されていません。

 デング熱を媒介する蚊は、海外では主にネッタイシマカとヒトスジシマカですが、我が国ではヒトスジシマカに刺されて感染します。この蚊は私たちの身の回りにごく普通に生息しており、人が刺される機会も多いので、今後もデング熱に対して注意が必要であると考えています。

(2014年9月22日記)


<リンク先>
  大阪府
    ・大阪府感染症対策情報
  山口県
    ・山口県感染症情報センター(患者の発生状況)
  厚生労働省
    ・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
    ・デング熱の国内感染疑い例の報告について
    ・厚生労働省デング熱について
  国立感染症研究所
    ・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

<IASR記事>
    ・2014年09月19日: <速報>日本国内で感染した17例のデング熱症例
    ・2014年02月25日: <速報>重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第二報)
    ・2014年02月20日: 日本における重症熱性血小板減少症候群
    ・2013年08月29日: <速報>重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第一報)

<最近の報道>
    ・重症熱性血小板減少症について



  

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