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日本脳炎 (Japanese encephalitis)

日本脳炎とは、日本脳炎ウイルスによっておこる感染症で、
極東から東南アジア・南アジアにかけて広く分布しています。
日本では1992年以降西日本を中心に年間10名以下の発生で推移しています。
2009年は大阪府内でも報告がありました。


日本脳炎とは

 6〜16日の潜伏期間の後、典型的な症状として38度以上の高熱、頭痛、悪心、嘔吐、めまいなどを呈します。その後、意識障害やけいれん、体の麻痺などが起こります。感染しても発病するのは100〜1,000人に1人程度で、80%は無症状のまま(不顕性感染)経過します。発病した場合の死亡率は20〜40%で、幼小児や老人では死亡の危険が大きいとされています。精神神経学的後遺症は生存者の45〜70%に残り、特に小児では重度の障害を残すことが多いといわれています。
 感染症法では、四類感染症全数把握対象疾患に指定され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることになっています。


病原体と感染経路

 病原体はフラビウイルス科に属する日本脳炎ウイルスです。
 日本脳炎ウイルスに感染しているブタやウマ、鳥類を吸血した蚊(主にコガタアカイエカ)がヒトを刺すことによって感染します。 ヒトからヒトへの感染はありません。
 厚労省の感染症流行予測事業として行われている豚の日本脳炎抗体調査の結果から見ると、西日本のどの地域でも日本脳炎ウイルスに暴露される危険はあるといえます。

参考:国立感染症研究所感染症情報センター「感染症流行予測調査事業 豚の抗体保有状況」


日本脳炎の治療

特別な治療法はありません。他の感染症の合併症予防や、症状を緩和するための対症療法が中心になります。


日本脳炎の予防接種

 日本脳炎の予防接種は1994年10月より定期接種として行われていました(一部地域を除く)。しかし、接種後に急性散在性脳脊髄症(ADEM)という疾患になったと考えられる事例があったことから、国は予防接種との関連を考慮し、2005年5月30日より、日本脳炎の定期接種を積極的には勧めないという見解を示しました。今年(2009年)の6月から、マウス脳の代わりにVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)を使用して製造する「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」が薬事法の承認を受け、供給されることになりましたが、一期初回の定期接種の対象者の方でもまだ未接種の方が多いのでは無いかと思います。日本脳炎ワクチンの積極的接種勧奨の差し控えは継続しているとはいえ、ワクチンの接種率が低下すると発症者の増加につながるおそれがあります。接種を希望される方は、お住まいの市町村の保健センターや、かかりつけの医療機関に接種方法をお問い合わせください。

 参考:厚生労働省「日本脳炎ワクチン接種に係るQ&A」
     国立感染症研究所感染症情報センター「感染症流行予測調査事業」」


日本脳炎に対する予防

 予防には日本脳炎ワクチン接種が有効です。また、対策としては蚊に刺されないことが重要です。
豚やイノシシが多い場所や、水田や沼地周辺では蚊に刺されないように気をつけましょう。

  • コガタアカイエカの活動が活発な夕方以降に戸外に出る場合は、肌の露出をなるべく避ける。
  • 虫除け剤の使用
  • 網戸、蚊帳の使用
  • 家の周辺の水たまりをなくす(蚊の発生源)

2009年大阪府の症例

 2009年第41週に発熱、意識障害があり、ペア血清でIgM抗体価、IgG抗体価、中和抗体価が上昇し日本脳炎と診断された事例の報告がありました。大阪府内に居住する40代の女性事例で8月半ばに発症されています。感染したと推定される時期に滋賀県への旅行歴もありますが、いずれにしても近畿地方で感染・発症された事例と考えられます。この患者さんのワクチン接種歴は不明です。


 日本脳炎ウイルスの写真  都道府県別届出状況の推移グラフ

■ お問い合わせ先

大阪府立公衆衛生研究所感染症部ウイルス課

  Tel:06-6972-1321

  Fax:06-6972-2393