大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン「かわら版@iph」創刊号をお送りいたします。
 「かわら版@iph」は通常は月1回の発行ですが、感染症のアウトブレイクや健康危機発生時には迅速に健康情報をお知らせできるようにしたいと考えております。
 創刊号は、大阪府庁関係課などに送らせて頂きますが、課内で直接講読を希望される方がございましたら、本誌末尾の講読申し込みアドレスをお伝えいただくようお願いいたします。
 
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                                                               2003年9月30 日 第1号        
 
      
    目次
・創刊のご挨拶
・ 今月の話題
  1)ウエストナイルウイルスのサーベイランス
  2)HIV感染の増加
・ 研究の窓から
  ゴミ焼却場職員のダイオキシン類汚染を堆積粉塵中ダイオキシン類濃度で推測
・ ここが知りたい一問一答---一般の方からの質問にお答えして
     ハトの糞の害について
・ 用語説明 RT-PCR
・ 質問・問合せはこちらまで。
・ 講読の新規登録/停止はこちら
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◆ 創刊のご挨拶
 大阪府立公衆衛生研究所は、これまで季刊「公衛研ニュース」やホームページで健康に関する情報や当所の研究成果などをお知らせしてきました。しかし、最新の情報や研究所活動を迅速にお伝えするには、これまでの方法では限界があると考え、今回これらに加えてメールマガジン「かわら版@iph」を発行することにいたしました。公衆衛生関係者や関心を持つ方々を対象に、ほぼ月一回(必要なときは随時)の発行を予定しています。「かわら版@iph」が、健康と安全に関する情報を迅速で正確にお知らせする道具になればと考えています。至らぬ点も多いと思いますが、ご意見ご批判を寄せていただければ幸いです。
大阪府立公衆衛生研究所長 織田 肇
◆ 今月の話題
1)「ウエストナイルウイルスのサーベイランス」
 ウエストナイル熱*やウエストナイル脳炎**は蚊が媒介するウイルス性感染症です。現在のところ日本では発症例は報告されていませんが、アメリカでは昨年44の州で4156名、今年に入って既に35の州で2324名の患者が発生し44名が死亡しています(9/5現在)
 大阪府ではウエストナイルウイルスが侵入していないか、府内の蚊のウイルスサーベイランスを行っています。9月9日に捕獲機器(CDCトラップ)を府内9市に設置し、9月10日に回収した蚊にウイルスがいないかを調査しました。今回の結果は、全て陰性でした。
 <http://www.pref.osaka.jp/fumin/Bukyoku/106000.html>
 公衆衛生研究所は、採集した蚊からのウイルス検出検査を分担しています。保健所が収集した蚊をすりつぶし、RT-PCR(用語説明へ)で検査しています。(感染症部ウイルス課)
*ウエストナイル熱:突然の発熱(39度以上)、頭痛、筋肉痛、時に消化器症状、発疹(胸、背、上肢)。
**ウエストナイル脳炎:筋力低下、頭痛、意識障害、痙攣。
<http://www.mhlw.go.jp/topics/2002/10/tp1023-1a.html>
 
2)「HIV感染の増加」
 我が国および大阪府のHIV感染者は増加を続けています。当研究所では感染のリスクの高い行動をとる人々を対象に独自の調査を12年間にわたって続けています。それによるとこの数年来、男性同性間による感染者が多く見つかっており危険な性行動に警鐘が鳴らされています。(感染症部ウイルス課)
<http://www.iph.pref.osaka.jp/news/Vol19/eiknews19.html>
 
◆ 研究の窓から
「ゴミ焼却場職員のダイオキシン類汚染を堆積粉塵中ダイオキシン類濃度で推測」
 わが国のダイオキシン類発生の内、焼却施設由来が90%を占めています。そこで働く労働者はダイオキシン類を高濃度に含む焼却灰や集塵灰を取り扱うため、ダイオキシン類曝露が懸念されます。ところが、汚染の指標となる血清中ダイオキシン類の測定は高価でかつ時間がかかり、1年間に測定できる件数に制限があります。労働者の健康を守るためには、調査対象場の優先順位を付ける目安が必要です。そのため、ゴミ焼却場職員に特徴的な1,2,3,4,6,7,8-七塩化ジベンゾフランに注目して13の焼却場において血清中濃度と比較的安く早く測れる堆積粉塵中濃度との関係を調べました。その結果、焼却施設の堆積粉塵中ダイオキシン類濃度を測定すれば、労働者の血中ダイオキシン類濃度測定を含む健康調査を実施することが必要か否かの判断ができることがわかりました。(生活環境部生活衛生課)
 
◆ ここが知りたい一問一答---一般の方からの質問にお答えして
Q.ハトの糞の害について
ベランダに鳩が来るようになりました。鳩の羽や糞が台所に入ってきているのではないかと気になっています。鳩の排泄物は病気を媒介し、恐ろしいウイルスが含まれていると聞いています。その病気はどのようなもので、感染の恐れがどの程度あるものなのでしょうか?
 
A. 感染症に関して、ドバト(野生化したハト)で問題になりそうなものは以下の3つです。但し、サルモネラ以外は、健康な人が感染するには濃厚な接触が必要です。
 1)クラミジア(C.psittaci) オウム病の原因になる微生物で、肺炎のような症状を起こします。ただし、日本ではドバトから感染したとする報告は少なく、ほとんどは 輸入オウムからです。
2)クリプトコッカス(Cryptococcus neoformans ) クリプトコッカス症の原因になるカビの仲間です。これはどちらかというと空気中のカビがトリの糞を栄養にして増殖し、感染源になるものです。通常、感染しても無症状です。免疫力が下がるような出来事があると、病原体が広がって初めて症状が出る場合があります。それは、しばしば髄膜炎・脳炎であったりします。
3)サルモネラ 最近は鶏卵などの汚染が問題になっている食中毒菌です。喫食後、半日から2日後までに吐き気やへそ周辺の腹痛がおこります。ほとんどの場合は点滴や抗生物質などで治ります。
 
◆ 用語説明 
「RT-PCR」(逆転写酵素-DNA合成酵素連鎖反応の略)
 微量のRNAをDNAに換え,それを鋳型にしてDNA合成酵素で増幅し検出する方法。
 通常、遺伝子の情報はDNAの塩基配列の一部をRNAに読み取って(転写)、細胞内のタンパク質合成装置でRNAの塩基配列をアミノ酸の配列に読みかえタンパク質をつくっています(翻訳)。ところが、ウイルスの中にはRNAの塩基配列をDNAの塩基配列に読みかえる逆転写酵素を持つものがあります(HIV等のレトロウイルス)。
 RT-PCRは、この逆転写酵素を利用してRNAを鋳型にしてDNAを合成し(RT)、そのDNAを鋳型にして耐熱性DNA合成酵素でDNAを何回も合成する(PCR)方法です。DNA量は1回の合成で2倍になり、2回目に4倍と幾何級数的に増加します(20回で105万倍、25回で3355万倍)。
 DNA合成酵素は、既にあるDNAの後ろに新しくDNAを繋いでいきます。つまり、DNAを合成するためにはプライマー(書き始め)とよぶ短いDNAが必要です。これは、DNA合成機で作ることができます。塩基配列がわかっている遺伝子から特定の部分を増幅するためには、このプライマーの塩基配列を増幅したい部分の両端と同じにするとよいわけです。
 
◆ お知らせ
合同公開シンポジウムのお知らせ
「新しい食品安全に係わる法体系の視点」
 日時:2003年10月17日(金)13:00-16:30
 場所:アピオ大阪 小ホール
    大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5
 費用:2000円(会場費・資料代として)
 
◆ 質問・問合せは
<mailto:webmaster@iph.pref.osaka.jp>
 
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