2004年6月30 日 第10号        
    目次
 
・ 公衛研からのお知らせとお願い
・ 今月の話題
 1、ウエストナイル熱を媒介する蚊のサーベイランス
 2、レジオネラ肺炎発生防止のための条例改正
・ 研究の窓から
  「ストレスのメカニズムと診断評価法の検討」
・ ここが知りたい一問一答---一般の方からの質問にお答えして
  「輸入レモン汁の安全性について」
・ 質問・問合せはこちらまで。
・ 講読の新規登録/停止はこちら
・ 10号に対するご意見はこちら
 
*公衛研から「公開セミナー」のお知らせとお願い
当研究所では本年11月頃に一般府民の方々を対象にした「公開セミナー」を開催する予定をしています。
この開催は、当所の専門情報の中で、健康増進と生活の安全確保のために役立つ情報を提供し、所の業務についてご理解を頂くと共に、府民の皆様に保健衛生に関する知識を深めていただくことを目的としています。年1回、2〜3テーマについて講演を行う予定です。
そこで、開催に先立ち、メールマガジン「かわら版@iph」をご講読いただいております皆様に、どの様なテーマに関心をお持ちかを参考までにお聞かせ願えないでしょうか。
回答欄にメールマガジン「かわら版@iph」(創刊号〜第9号まで)等でこれまでに掲載した記事の一部を紹介します。ここに上げました内容以外でも結構ですので、是非ご回答下さいますようお願い致します。(出来ましたら7月末までにお願いします)。
                回答先<
http://www1.iph.pref.osaka.jp/merumaga/enq.asp?n=10>
 
*今月の話題
1、「ウエストナイル熱を媒介する蚊のサーベイランス」
 アメリカ合衆国では、1999年の夏にウエストナイル熱がニューヨークで突然流行して以来、年々流行地域が拡大し続け、2003年の患者数は9862名(死者264名)に達しています。今年も蚊が出てくる季節になって、各地で鳥や馬などでの感染が確認されており、アリゾナ州を中心に既に32名(死者0名)の患者が報告されています(2004.6.22現在)。患者の発生している地域にはカリフォルニア州のように日本人が多く訪れるところも含まれており、ウエストナイルウイルスの我が国への侵入に対して、より警戒しなければならない状況になってきています。
 当研究所では、昨年からウエストナイルウイルスの侵入を監視する目的で、大阪府健康づくり感染症課、環境衛生課、各保健所と協力して蚊の捕集調査を行っています。今年も6月から9月にかけて府内17カ所で蚊の捕集を行い、ウイルスを持っていないかどうか検査を行います。現在までのところ、ウイルスは検出されていませんが、今後もし侵入するようなことがあると、媒介する蚊やウイルスを運ぶ鳥は身近にいるため、アメリカと同じように感染が拡大することが懸念されます。流行を最小限に抑えるためには、侵入していない時から蚊や鳥類のサーベイランス(流行監視)を継続することが重要と考えています。    (ウイルス課 弓指、瀧 )
 
2、「レジオネラ肺炎発生防止のための条例改正」
 
 近年、公衆浴場や旅館の入浴施設利用者にレジオネラ症の発生事故が度々起きており、公衆浴場等の安全性への関心が全国的に高まっています。
 この対策として厚生労働省は平成14年10月に「公衆浴場法第3条第2項並びに旅館業法第4条第2項及同法施行令第1条に基づく条例等にレジオネラ症発生防止対策を追加する際の指針」を提示しました。これを受けて、全国の自治体では関連条例の改正が次々と進められているところです。
 大阪府でも有識者と各界関係者から構成する「大阪府公衆浴場法施行条例等改正検討委員会」を設置し、健康福祉部環境衛生課を事務局として検討が進められて来ました。現在、その委員会報告書についてパブリックコメントが募集されている段階で、17年1月の施行を目指して条例改正が計画されています。その報告書に基づきますと、特に大きな改正を行うべき措置は以下のとおりとなっています。
1.浴槽水の水質検査
2.ろ過器や循環配管の定期的な消毒
3.打たせ湯の水質管理の徹底と循環水利用の原則禁止
4.衛生管理者の設置と、衛生措置に関する記録やその3カ年保管
                     (環境水質課 土井)
 
*研究の窓から
「ストレスのメカニズムと診断評価法の検討」
 
現代はストレス社会といわれています。ストレスにも「良いストレス」と「悪いストレス」があり、仕事の目標設定などにより生ずる「良いストレス」は、仕事を効率化させよい成果をもたらしますが、「悪いストレス」は、生活活動を停滞させ、生活習慣病など種々の疾患の発症や増悪をもたらす危険因子となります。当所では、ストレスの診断方法の開発や動物実験によるメカニズムの研究を進めています。種々の職業を持つ中高年を対象に、ライフスタイルの聞き取り調査と生理指標を探索した結果、Tリンパ球*の増殖活性やサイトカイン産生能が、職場や家庭で受けるストレスや悪いライフスタイルなど健康度を示す総合的な診断方法となることを明らかにしました。最近では、介護労働者でこれらの免疫機能の顕著な低下がみられ、労働条件の改善が急務であることがわかりました。
 疾患の発症に重要な、慢性ストレスのメカニズムについてはよくわかっていません。そこで、慢性的精神的ストレスのモデルマウスを樹立し、生体影響を調べました。その結果、慢性ストレスによって神経伝達物質の一種「サブスタンスP」などの血中濃度が上昇し、環境とのバリアとして重要な役割を持つ皮膚や腸管免疫系が影響を受け、化学物質によって起こる接触皮膚炎や化学物質過敏症様皮膚炎が顕著に悪化することがわかりました。現在、近年発展してきたcDNAアレイによる遺伝子発現解析技術**を用い、これらの疾患の発症や増悪に関わる遺伝子を網羅的に探索し、治療に役立つ遺伝子の同定を目指しています。  (生活衛生課 中野)
  *:リンパ球の中にはTリンパ球とBリンパ球がある。Bリンパ球は主として抗原に対する抗体をつくる。Tリンパ球はBリンパ球の抗体産生や、取り込まれた病原体の破壊を助け、ウイルスに感染した細胞の破壊を行い、遅延型アレルギーを起こすなど広範な働きを持つ。
 **:細胞の核内の遺伝子情報は一旦メッセンジャーRNA(mRNA)に変換されたあと、細胞質中で蛋白質に翻訳され生命活動を行う。組織や細胞に含まれるmRNAを、そのままあるいはcDNAに変換させたのち、基板上に数千から数万の遺伝子をスタンプしたcDNA アレイに結合させ、結合した遺伝子の種類や量を測定し、網羅的に分析する方法。これらの技術を用いて、ある特定の組織や細胞で発現している遺伝子の特徴が発現プロファイルとして得られる。
 
*ここが知りたい一問一答---一般の方からの質問にお答えして
「輸入レモン汁の安全性について」
 
Q  保育園で調理に使用するレモン汁に地中海沿岸産のものを使いたいが、残留農薬等の安全性はどうか。現地で絞ったものを輸入しているとのこと。日本食品分析センターでの残留農薬検査ではOPP、TBZおよびジフェニル(防かび剤)は検出せずとなっている。
A  EU諸国は農薬の残留基準が厳しく、また多くの農薬は水に溶けにくいことから、絞り汁に混入する量は極めて少ないこと、調理に使用する量は少量であることなどを考慮すると殆ど問題はないと考えられます。
(編集部注:レモン汁の規格はありませんが、レモンの残留農薬等規制値はEUの方が日本に比べおおむね2-5倍厳しくなっています。)
*********************************************************
 
◆質問・問合せは
<
mailto:webmaster@iph.pref.osaka.jp>
 
◆ 講読の新規登録/停止はこちら
<
http://www1.iph.pref.osaka.jp/merumaga/form.html>
 
◆ その他のニュースは<
http://www.iph.pref.osaka.jp/>
 
◆ 10号に対するご意見はこちら
より良い「かわら版@iph」作りのため、アンケート <
http://www1.iph.pref.osaka.jp/merumaga/enq.asp?n=10> にお答えください。
 
*******************
かわら版@iph編集部
大阪府立公衆衛生研究所
公衛研ニュース編集会議/企画調整課
  大阪市東成区中道1-3-69
  TEL06-6972-1321
*******************