大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第104号− 2012年4月27日発行


食品中の動物用医薬品検査について

 みなさんも風邪を引いた時や体調が良くない時には薬を飲むことがあると思います。それと同じように動物にも薬があることをご存知でしょうか。それらは動物用医薬品といわれ、抗生物質、抗菌剤、駆虫薬、ホルモン剤等があります。畜水産動物にも使用され、人畜共通感染症の予防、生産性向上や畜水産食品の安定供給のためには欠かせないものとなっています。

 動物用医薬品の使用については対象動物、用法・容量、使用禁止期間等が決められており、管理されています。しかし、万が一適切な管理が行われておらず食品へ残留した場合、動物用医薬品による健康被害や、耐性菌出現等が起こる可能性があります。外国での事例ですが、家畜に肉の赤身を増やす効果がある薬剤を不正に使用したため、この薬剤が多量に残留した肉を食べて中毒が発生したことや、スポーツ選手がドーピング検査で陽性反応が出て問題になったことがありました。

 日本では2006年5月より「ポジティブリスト制」といわれる農薬や動物用医薬品等の残留基準値が設定されました。厚生労働省が食品ごとに残留基準値を設定し、それ以外のものは「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定めた量」として一律基準の0.01ppmの値が設定されています。また抗生物質等には食品中に含まれてはいけない「不含有基準」や「不検出基準」のものがあります。測定を行う前には食品中から動物用医薬品を抽出し機器分析を行いますが、食肉や魚では、妨害物質が多く測定が難しいことがあり、高度な分析技術が求められています。当所での動物用医薬品分析には液体クロマトグラフ‐タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用います。液体クロマトグラフで対象物質を分離し、質量分析計で測定を行います。

 また適切な精度管理を行うため検査機関ではGLP(Good Laboratory Practice)による管理を行う必要があります。当課でも作業工程ごとに記録を残して、検査結果の信頼性を確保しています。また近年、厚生労働省が分析法の妥当性評価ガイドラインを示し、検査法を検証するよう求められています。

 大阪府の動物用医薬品の検査は、食品衛生監視指導計画に基づき、当所食品化学課で年間約100検体、検査項目数としては、平成22年度より14項目増加し合計33項目を検査しています。平成23年度に実施したのべ検査項目数(検体×項目)は2337件でした。過去5年間では8375件実施し違反件数は1件でした。

 今後も当課では、質の高い検査を維持しつつ、検査項目数の増加を目指し、大阪府民の食の安全を確保できるようより一層努力してまいります。

(食品化学課 山口 貴弘)


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