大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第107号− 2012年7月31日発行


リステリア症

 リステリア症はListeria monocytogenesを原因菌としますが、本菌は土壌、河川、家畜や健康な人からも検出される環境常在菌です。その主症状は髄膜炎、敗血症、脳炎など重篤で、その致死率は30%を超える感染症です。感染は、本菌に汚染された食品、特に加熱しないで喫食するチーズや食肉製品・サラダなどを食べることにより引き起こされると考えられています。また、リステリア症の特徴として、60歳以上の方に患者が多いことに加え、妊娠中の方は普通の人より20倍罹りやすいとされており、流産や死産の原因となります。最近では、2008年8月にカナダで加工肉製品を原因食とする事例が発生し、57名が発症、うち23名が死亡し、昨年もアメリカのマスクメロンによる事例で、感染者数146名のうち30名が死亡しています。

 日本では今までにリステリア症による死亡者は報告されておらず、集団発生も1例のみであったため注目されていませんでしたが、日本でも年平均でおよそ83例の重度のリステリア症が発生していると推定されており、リステリア症は滅多に発生しない感染症ではないのです。

 平成23年に当所にて、牛肉92検体、豚肉78検体、鶏肉99検体、生鮮魚介類155検体、魚介加工品69検体についてリステリア菌を調査したところ、陽性数(検出率)は13検体(14.1%)、12検体(15.4%)、40検体(40.4%)、7検体(4.5%)、1検体(1.4%)であり、生肉、特に鶏肉で汚染が広がっていることが分かりました。また、昨年の大阪府による食品収去検査において、国産生ハムから菌量は非常に少ないのですがリステリア菌が検出されました。妊婦の方および免疫力の低い方は、言うまでもないことですが食肉は十分に加熱して食べること、そして、輸入または国産に関わらずナチュラルチーズや生ハムなど、加熱工程のない食品は控えるべきだと考えられます。

 

(細菌課 神吉 政史)


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