大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第108号− 2012年8月31日発行


手足口病ってどんな病気?

 手足口病と言えば、夏場に手や足や口に水疱や発疹ができる乳幼児の病気ということで有名です。近年、中国やカンボジア等の東南アジア諸国でエンテロウイルス71型(EV71)による手足口病が流行し、多くの死者が出ていることがニュースでも大きく報道されています。しかし、このEV71のみが手足口病を引き起こすのではありません。

 手足口病は主にエンテロウイルスが原因となっておこりますが、ヒトのエンテロウイルスには64種類もの血清型があります。その中には手足口病を起こしやすいものとそうでないものとがあります。そうでない血清型のエンテロウイルスが感染した場合にも手足口病を発症し、時に大流行を引き起こすことがあります。通常、手足口病を引き起こしやすい血清型は東南アジア等で猛威をふるっているEV71の他にコクサッキーA16型、コクサッキーA10型等があります。

 平成22年と23年は全国的に手足口病が流行しました。しかし、この2シーズンにおいて、平成22年はEV71、また平成23年はコクサッキーA6型(CA6)(図1、図2)が主な原因ウイルスであり、それぞれ異なった病態でした。EV71による手足口病の手、足、口の症状は典型的ですが、中枢神経系の合併症の発生頻度が他の血清型のウイルスよりも高いことが知られており、日本でも死亡例の報告もあります。



 CA6は通常ヘルパンギーナの原因となる血清型で、平成23年のように手足口病の症状を起こして大流行することは非常に珍しいことでした。しかし、近年、CA6による手足口病がアジア諸国のみならず、フィンランドやアメリカなどにおいても流行しており、全世界的に今後も手足口病を引き起こすウイルス血清型として循環することが予想されます。CA6による手足口病の特徴として重篤な皮膚症状があげられます。手、足、口だけでなく、全身に認められる不定形の紅斑、水疱や爪の脱落等これまでの手足口病とは異なる症状が認められました。しかし、無菌性髄膜炎等の中枢神経合併症はほとんど報告されませんでした。

 このように、手足口病と一口に言っても流行するウイルスの血清型によって流行の大きさや症状が異なります。また、それぞれのウイルス血清型の抗体を保持していない場合は乳幼児だけでなく学童や成人でも発症する場合があります。さらに、流行期には原因となるウイルスが複数循環しているため、1シーズンに2回以上手足口病に罹るということも珍しくありません。手足口病を治療する薬や予防するワクチンはありませんが、一般的なウイルス感染防除策が有効です。一度罹患したからといって油断せず、夏場でもまめな手洗いうがいを心がけましょう。

 
*ヘルパンギーナ:高熱と口腔粘膜の水疱性発疹を特徴とする疾患。乳幼児を中心に夏季に流行する。

(ウイルス課 中田 恵子)


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