大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第109号− 2012年9月28日発行


水道水質検査における検査精度の向上について(3)

 大阪府では府内の水道事業体、保健所等の水道水質検査機関の検査精度の向上を図ることを目的として、平成5年度より「大阪府水道水質検査外部精度管理」を実施しています。この外部精度管理は、当所で作成した試料を水道水質検査機関が測定し、その結果について統計・解析を行い、分析精度が保たれているかどうかを確認するものです。平成22年度は対象項目を、無機物質は「シアン化物イオン及び塩化シアン」、有機物質は「シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン」とし、無機項目で28機関、有機項目で32機関の参加を得て実施しました。

 本メールマガジン第66号で平成19年度の結果を、第84号で平成20年度の結果を紹介しましたが、今回は平成22年度の結果のうち「シアン化物イオン及び塩化シアン」について紹介します。

 水道水は、水道法による水質基準等により飲用水として安全性が保たれています。
 「シアン化物イオン及び塩化シアン」は、50項目ある水質基準項目の一つで、人の健康に影響を与える項目として基準値は0.01mg/L以下に設定されています。
 致死量はシアン化物イオンとして60〜120mgといわれており、自然水中にはほとんど存在しませんが、消毒副生成物およびシアン化合物を含む工場排水等の混入によって検出される場合があります。


 (1)大阪府水道水質検査外部精度管理の結果

 検査は、「水質基準に関する省令の規定に基づく厚生労働大臣が定める方法」である、イオンクロマトグラフ-ポストカラム吸光光度法で行うこととしました。28機関の測定値を統計処理し検査結果の精度を確認したところ、検査値の「変動係数」(*1)が10%を超えた機関はありませんでした。また「Zスコア」(*2)の絶対値が3を超えた機関は2機関、「真値」(*3)に対する「誤差率」(*4)が±10%を超えたのは3機関でした。Zスコアと誤差率がともに許容範囲を超えた「外れ値」に該当した機関は2機関で、全体の7.1%(2/28)で、概ね良好な外部精度管理結果が得られました。

 



 (2)検査精度の向上に向けて

 上記の外部精度管理で、「外れ値」となった機関について、標準作業手順書、検量線、クロマトグラム及び計算方法等を精査し、その原因究明を行い、検査精度を向上するための留意事項が明らかになりました。

 精度管理の結果と、解析で明らかになった留意事項は、参加機関を対象にした結果報告会において、周知を図り、精度の向上に役立てています。

 以上のように、当研究所においては、水道水質検査における外部精度管理を実施することによって、府内の水道水質検査機関の検査精度の向上を図り、水道水のさらなる安全性、快適性の確保に努めています。



 *1 変動係数
 機関内の報告値のばらつきを表します。各機関の報告値の標準偏差を平均値で除したもので、無機物の分析では±10%以内であれば、機関内の検査精度が保たれていることになります。

 *2 Zスコア
 ある機関の報告値が、全体のどこに位置するかを表します。正規分布を用いる統計学的検定法で検出される数値で、絶対値が3未満であれば信頼性が保たれていることになります。

 *3 真値
 対象物質の真の濃度。ここでは全機関の報告値から、異常な値を除いた後の平均値を真値としました。

 *4 誤差率
 報告値が真値から、どれだけ離れているかを100分率で表したもの。無機物の分析の場合、±10%以内であることが必要になります。

(生活環境課 中島 孝江)


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