大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第111号− 2012年11月30日発行


野菜・果物アレルギーと花粉症のはなし

 最近、花粉症と関連のある野菜・果物アレルギーが注目されています。

1. 野菜・果物アレルギーについて

 野菜・果物アレルギーでは、特定の野菜や果物を摂取して数分〜十数分後に、口唇や口腔内、のどにおけるかゆみや腫れなど、口腔を中心とするアレルギー症状が現れることがあります。通常これらの症状は次第に治まりますが、まれに咳や腹痛、下痢などの消化器症状、アナフィラキシーショックなどの症状を引き起こすことがあります。こうした野菜・果物アレルギーの主な原因タンパク質として、(1)植物が感染や環境ストレスを受けた場合に発現する感染特異的タンパク質(生体防御タンパク質)や、(2)植物細胞の生命活動に関わるプロフィリンというタンパク質、が挙げられます。


2. 野菜・果物アレルギーと花粉症の原因物質は共通する

 野菜・果物アレルギーと花粉症の原因タンパク質をアミノ酸配列あるいはその立体構造で比較すると、共通点が多くみられます。花粉の吸入を経て花粉抗原に対する感作が成立した後、花粉と共通点の多いタンパク質を含む野菜・果物を摂取した際、花粉抗原だけでなく野菜・果物の抗原とも交差反応するようになります。その結果、野菜・果物アレルギーを発症する場合があります。このように、花粉症を伴う野菜・果物アレルギー(口腔アレルギー症状)のことを特に、花粉食物アレルギー症候群(PFAS:pollen-food allergy syndrome)と呼びます1)。表1に、花粉との関連が報告された野菜・果物の例を示します2)

 実際に、花粉食物アレルギー症候群は、北海道ではカバノキ科シラカバ(図1)、関西地方では六甲山に植樹されたカバノキ科オオバヤシャブシに対する花粉症患者において、それぞれ発症することが知られています3)








図1.シラカバの木と花粉


3. おわりに

 野菜・果物の抗原の多くは、抗原性が不安定であり、加熱調理によってアレルギーの発症を抑えられるとされています。また、PFASの治療は、他の食物アレルギーと同様に原則的に原因食物の除去が重要であり、PFASが疑われる場合は受診の上、原因を詳しく調べることが重要です。

 生命にかかわる重篤な状態のこと。アレルギー反応により、皮膚症状(じんましんなど)・消化器症状(腹痛など)・呼吸器症状(息苦しいなど)が複数同時かつ急激に出現し、血圧や意識レベルが低下します。


 参考文献:

 
  1) Ma S et al. A survey on the management of pollen-food allergy syndrome in allergy practices. J Allergy Clin Immunol 112(4),784-8(2003).
  2)  中村晋ら. 最新食物アレルギー, 永井書店, 267-274(2002)
  3)  足立厚子, 堀川達弥. 花粉症に伴う口腔アレルギー症候群の地域差について-兵庫県南部における阪神間と東播磨との比較-. アレルギー 55, 811-819 (2006).

(食品化学課 清田 恭平)


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