大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第111号− 2012年11月30日発行


百日咳は大人もかかる感染症です、大人から赤ちゃんへの感染に気をつけてください

 百日咳は百日咳菌(Bordetella pertussis )という細菌により呼吸器の粘膜が侵される病気です。その症状は名前の通り特有の発作性の咳が長期間続き(一般的には1〜2カ月ぐらい)、乳幼児が感染した場合は重篤化しやすく死にいたる場合もあります。患者発生は1年を通じてみられますが、他の多くの呼吸器感染症が冬季に患者数が増加するのに対して百日咳は春から夏にかけて流行期となります。百日咳菌は感染力の非常に強い病原体で、気道分泌物の飛沫および接触により容易に人から人に感染します。一般的には乳幼児、小児などの子供の病気と考えられていますが、この病気に対して免疫をもたない人であれば年齢に関係なく感染します。

 図に大阪府内の約200カ所の医療機関で百日咳と診断され報告された患者を年齢層別に示しました。現在のところ百日咳の全患者数を把握するシステムがないため、発生患者の正確な数は不明ですが実際には小児科でもこの10倍程度の患者が大阪府内で発生していると推測されています。また最近では15歳以上の患者数の増加が顕著ですが、これはこの年齢層の患者数の増加と言うよりもこれまで典型的な症状を示さず見逃されてきた年長の患者が診断技術の進歩により発見される様になったことが原因とされています。大学や職場などでの集団感染事例も多く報告されています。

 百日咳は子供だけの病気ではないのです。
 成人の感染例では咳が長く続きます。しかし、乳幼児と異なり痙攣性の咳発作はほとんど無く医療機関を受診しても見逃されることが多いため、感染源となってまわりに感染を広げてしまうことがあります。「乳児を持つ両親が気づかないうちに百日咳に感染し、赤ちゃんに感染させてしまう」という事例が多くみられています。百日咳は早期に抗菌薬を処方することにより症状の軽減と菌排出期間を短くすることができますので迅速な診断が重要となります。数時間で検査が可能な特異遺伝子検出法も開発されており、同検査の保険適用、安価な診断キットの提供が望まれます。


 百日咳は他の多くの感染症と違い、お母さんから赤ちゃんに与えられる免疫が十分にありませんので生後まもなくから感染する可能性があります。図に示しています様に1歳未満の患者が多いのもこのためです。赤ちゃんを守ってあげるためには予防接種が大変重要です。予防接種は百日咳・ジフテリア・破傷風三種混合ワクチン(DPTワクチン)として生後3カ月から受けることができますのでできるだけ早く接種してあげることにより感染を防ぐことができます。そして免疫を得るまでの間は赤ちゃんと接する大人は健康に注意して、長引く咳などがあれば早めに医療機関を受診するよう心がけてください。

(細菌課 勝川 千尋)


▲ページの先頭へ