大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第113号− 2013年1月31日発行


大阪府における違法ドラッグの検査について

 平成24年は違法ドラッグによると考えられる事件・事故が多く発生しました。違法ドラッグの摂取後、意識不明におちいり、救急搬送されるだけでなく、第三者を巻き込んだ交通事故を引き起こした事件も報道されました。

 「違法ドラッグ」は麻薬や覚せい剤などと同様に多幸感、快感などを高めるために販売されている製品を言います。麻薬や覚せい剤は医薬品として用いられる場合もありますが、誰もが安易に取り扱うことが出来ないように法律で厳しく規制されています。ところが、違法ドラッグの成分は麻薬や覚せい剤の成分の化学構造に似せて合成されており、法律では規制されていません。そこで、販売業者は「合法ドラッグ」などと称して、安全であるかのように販売しています(図1)。しかし、違法ドラッグを使用すれば、麻薬や覚せい剤などと同様に幻覚、意識障害や嘔吐、けいれんなどの症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。さらに、違法ドラッグの使用者が車を運転した際には正常な運転が出来ず、交通事故により第三者を死亡させてしまう場合もあります。


 図1 違法ドラッグの成分の一つ「ブフェドロン(中央)」は、麻薬である「メトカチノン(左)」と構造が似ており、麻薬と同様の症状を引き起こす恐れがあります。「ブフェドロン」は平成24年10月に指定薬物として規制されましたが、販売業者は、「N-エチルブフェドロン(右)」のように「ブフェドロン」から化学構造を少し変化させることで規制を逃れようとしています。(平成24年12月時点の規制状況を示しています)


 平成24年まで日本では、流通が確認されている違法ドラッグの成分を一つ一つ個別に、薬事法で「指定薬物」として規制する方法をとっていました [1]。しかし、指定薬物として規制しても、化学構造を少し変化させることで規制から逃れるといったことが繰り返される「いたちごっこ」の状態が続いていました(図1)。

 そこで、違法ドラッグとしての作用に必要と考えられる化学構造を持つ成分を一括して、指定薬物として規制することが出来る「包括指定」を新たに導入することにしました。包括指定により数百種類もの違法ドラッグの成分を一度に規制することが出来ます。また、この包括指定は一度に規制できる成分の数が増えるだけでなく、未だ流通していない成分を事前に規制し、先手を打って違法ドラッグの流通拡大を防止する事も出来ます。

 さらに大阪府などの自治体が個別に違法ドラッグを規制する条例を制定し、各自治体の知事が独自に指定薬物を指定し規制を行う動きもあります。大阪府では、平成24年に施行された「大阪府薬物の濫用の防止に関する条例」[2] において、府独自で「知事指定薬物」を指定することが出来、違法ドラッグの取り締まり強化を図っています。この大阪府の条例は知事指定薬物を含有する商品の所持・使用に対しても罰則を規定した、全国で初めての条例です。

 このように国や各自治体は違法ドラッグを規制するために法律や条例を整備しています。しかし、販売業者は違法ドラッグをお香、アロマリキッド、ビデオクリーナー、研究用の試薬などを装って販売し、規制を免れようとしています。そのため、実際に違法ドラッグ製品を分析し、その成分を検出しなければ市場から排除することが出来ません。

 大阪府立公衆衛生研究所も、違法ドラッグの流通実態の把握と取り締まりを行うために、違法ドラッグ製品 (図2) の買い上げ検査を実施しています [3]。



   図2 平成24年に大阪府で分析を行い、指定薬物が含まれていた違法ドラッグ(アロマリキッドとして販売されていました)。


 違法ドラッグの問題は、使用した本人の健康や生命だけでなく、周りの人々の生命までも危険にさらす深刻な問題です。違法ドラッグによる事件・事故を起こさないためにも、法律や条例による取り締まりだけでなく、一人一人が正しい知識を身につけ、「買わない」「使わない」「近寄らない」ようにしましょう。


 関連リンク

 [1] 厚生労働省 薬物乱用防止に関する情報(ページ下部に指定薬物に関する情報があります)

 [2] 「大阪府薬物の濫用の防止に関する条例」

 [3] 大阪府における平成24年度「違法ドラッグ買上調査」の結果について

(薬事指導課)


▲ページの先頭へ