大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第114号− 2013年2月28日発行


食品中の塩素系難燃剤デクロラン・プラス

 電化製品、家具・インテリアは私たちが快適に生活するためには欠かせない存在です。しかしそれらの原料となるプラスチックや繊維、発泡スチロールは燃えやすい性質をもち、火災が発生した場合、大きな被害が発生する危険があります。難燃剤はこれら可燃性の製品を燃えにくくする目的で製品に混合される化学物質です。

 難燃剤、特に化学構造中に臭素元素や塩素元素などのハロゲンを有するものは難燃効果が高い一方で、環境中で分解され難く(難分解性)、生物に蓄積し(高濃縮性)、さらに生物への有害作用を持つものもあることがわかってきました。臭素系難燃剤であるポリ臭素化ジフェニルエーテルやヘキサブロモシクロドデカンは過去に世界中で多く使用されてきましたが、先に述べた性質からストックホルム条約において新規残留性有機汚染物質 (POPs) に指定、またはその候補物質に挙げられ、「製造・使用・輸出入の禁止等の規制」に至っています。

 現在使用されている主要な難燃剤は数十種類ですが、それらの環境中および生物中での挙動に関する情報は十分であるとは言えません。今回取り上げた塩素系難燃剤デクロラン・プラス (DP) も高い残留性が疑われている物質です (図1、図2) が、その使用実態や汚染実態など不明な点が多いのが現状です。ここ数年で北米や中国を中心に環境や生物試料中からのDP検出例が報告され、徐々に実態が明らかになってきました。

 当研究所では、魚試料中のDP量を調べました。その結果、多いもので魚肉1 g中に10 pg(1 pgは1兆分の1 g)程度残留していることがわかりました。

 今回検出された濃度は非常に低く、直ちに人体に影響を与えると考えられる濃度ではありませんが、DPが典型的な高蓄積性の特徴を有し、またその生産量が増加していることから、今後も安心できる食生活を守るために監視を続けていきたいと考えています。

    
(食品化学課 柿本 健作)


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