大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第117号− 2013年5月31日発行


大阪湾における麻痺性貝毒の発生について


 今年の4月初旬から中旬にかけて大阪湾のアサリ、アカガイ、トリガイや淀川下流部のシジミから規制値(4マウスユニット/g※)を超える麻痺性貝毒(図1)が検出されました。この二枚貝の毒化は、麻痺性貝毒を産生するプランクトンを二枚貝が捕食し、毒がその中腸腺に蓄積されることにより起こります。大阪府では、毒化した貝が見つかった場合は、食の安全推進課及び水産課が発表し、毒化した貝が流通しないように、漁協に対しては出荷の自主規制や自主回収を要請します。また、大阪府内の各潮干狩り場においては、潮干狩りで獲れたアサリは絶対に持ち帰らないよう啓発し、安全なアサリと交換したうえで持ち帰ってもらうように安全対策を講じています。このような規制は、毎週二枚貝の検査を実施し、3週連続して規制値を超える麻痺性貝毒が検出されなくなれば、解除されます。

 

 一般的に、二枚貝の麻痺性貝毒検査は、公定法であるマウス試験法により実施されています。この検査法は、動物を使用するので、そのための飼育施設が必要となり、また、高度な専門技術も必要です。そのため、これに代わる簡便・迅速・低コストな検査法の開発が望まれてきました。

 そこで、当所では、農林水産省プロジェクト研究「現場即応型貝毒検出技術と安全なモニタリング体制の開発」に参画して、抗原抗体反応と酵素反応を利用した、麻痺性貝毒の酵素免疫測定法(PSP-ELISA)を新たに開発しました。このPSP-ELISAでは、二枚貝抽出液中の麻痺性貝毒の有無を約20分で判定することができ、その検出感度も、公定法であるマウス試験法より十倍優れています。現在、当所では、このPSP-ELISAをマウス試験の前に実施し、その結果を確認する目的でマウス試験を実施しています。これにより、マウス試験に要する検査時間を大幅に短縮することが可能となり、また検査に使用する動物数も大幅に低減できるようになりました。

 今年の4月28日には、大阪湾で採取したムラサキイガイを食べた人が、しびれ等の症状を呈する食中毒事例が発生しました。この時の食べ残しの貝(加熱調理されたもの)からは、規制値の約66倍の麻痺性貝毒が検出されました。加熱調理しても決して毒は分解されないため、貝毒が発生している間は、大阪湾で採取した二枚貝は絶対に食べないようにして下さい。

 ※マウスユニット:1マウスユニットとは、体重20gのマウスを15分で死亡させる毒量


(細菌課 川津健太郎)


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