大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第118号− 2013年6月28日発行


水道水における農薬類の分類見直しについて


 水道水における農薬類については現在、水質管理目標設定項目に分類されています(*1)。水質管理目標設定項目とは検査が法律で義務付けられている水質基準(50項目)を補う項目として位置づけられています(*1)。

 平成25年3月31日までは206種類の農薬類が3つのグループに分類されており、そのうち102種類が第1候補群として浄水(水道水)中に検出される可能性の高い農薬として対象農薬リストに掲載され、水質管理目標設定項目における農薬類の対象とされていました(図1)。しかし、平成25年3月28日付けで厚生労働省健康局長からの通知において農薬類の分類見直しが行われ、平成25年4月1日より適用されています(*2)。

 新しい分類見直しにおいて、まず分類対象となる農薬類として次の3つの要件のうちいずれかに合致する農薬類が選定されました。
  1.国内推定出荷量をADI(一日摂取許容量)(**1)で除した値が、農薬の種類(用途)毎に上位30位までに入る
  2.国内推定出荷量が上位30位までに入る
  3.ゴルフ場使用農薬の暫定指導指針の対象農薬、国内での水道水中の農薬存在に関する調査研究対象とされた農薬

 その結果、新たに37種類の農薬類を追加した243種類が分類対象となりました。この243種類の農薬類を使用状況、検出状況などから、水質基準農薬類、対象農薬リスト掲載農薬類、要検討農薬類、その他農薬類および除外農薬類の5つのグループに分類し、120種類が対象農薬リスト掲載農薬類となりました(図1)(*3)。ただし、検査する農薬類は各地域によって使用状況が異なるため、対象農薬リストを参考にして、その地域に合った農薬類を取捨選択するものとされています(*3)。なお、水質基準農薬類に分類された農薬類はありません。

 当所では120種類の農薬類のうち、新しく対象農薬リストに掲載された34種類の農薬類(表1)の検査に対応するために、厚生労働省から測定方法が提示された農薬類については精度よく測定できるか否かの検討・確認を行っています。それにより確認がとれた農薬類については随時検査を実施しています。また、測定方法が定まっていない農薬類については、測定方法の開発を積極的に行っています。

 また、平成24年度には新たに分類見直し対象となった37種類の農薬のうち、25種類について先行的に分析方法を検討し、大阪府環境衛生課、各水道事業体と協力して原水(水道水を作るのに使用する河川水や地下水)と浄水を対象に検出状況の調査を行いました。さらに、今年度は要検討農薬類に分類されている16種類の農薬のうち6種類(6種類は昨年度調査済み)を対象として調査を実施します。このように水道水での存在状況、浄水処理効果などの情報が少ない化学物質を対象に大阪府内での検出状況のデータ収集・解析・情報提供を行うことにより、更なる水道水の安全性確保に努めています。



 

 



【引用文献】
 (*1) 厚生労働省健康局長、水質基準に関する省令の制定および水道法施行規則の一部改正等について
     (健発第1010004号、平成15年10月10日)
 (*2) 厚生労働局健康局長、「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について」の一部改正について
     (健発0328第7〜第9号、平成25年3月28日)
 (*3) 厚生労働省健康局水道課長、農薬類の分類の見直しについて(健水発0328第4〜第7号、平成25年3月28日)


【語句説明】
 (**1) 人が一生涯にわたって摂取しても、有害な作用を受けないと考えられる化学物質の1日当たりの最大摂取量



(生活環境課 高木総吉)


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