大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第121号− 2013年9月30日発行


子供たちの健康を守るために -おもちゃの検査-


 私たちの食の安全・安心を守る食品衛生法は、おもちゃの安全・安心も守る法律であることをご存知でしょうか?乳幼児はおもちゃをなめたり、口に入れてしまうことが多いため、有害な物質が含まれていると健康を損なうおそれがあります。とくに、塗料の顔料等に使用されることがある鉛やカドミウムは発達過程にある乳幼児への健康影響が懸念されます。そのため、乳幼児用おもちゃは食品、添加物、器具・容器包装と同じように食品衛生法で規制されています。主に対象年齢が6歳未満のおもちゃを対象に(図1)、その種類や原材料ごとに規格基準が設定されています(表1)。


 


 


 例えば、ポリ塩化ビニル製のアヒルのおもちゃの場合、それぞれの部位ごとに検査を行います(図2)。塗料で塗られたくちばし(塗膜)は、乳幼児がその部分をかじって飲み込むことを想定し、胃酸の代わりに0.07 mol/L塩酸を用いてカドミウム、鉛及びヒ素の溶出量を測定します。塗膜を除くからだの部分は、乳幼児がなめることを想定し、唾液の代わりに水を用いて重金属、カドミウム及びヒ素の溶出量を測定します。おもちゃ全体については、水に溶出する有機物量として過マンガン酸カリウム消費量(※1)、水に溶出する不揮発性物質量として蒸発残留物(※2)を測定します。また、フタル酸エステル(DBP、DEHP、BBP)(※3)の含有量も測定します。



 


 製造基準によって着色料の使用も規制されています。化学的合成品にあっては、食品衛生法施行規則別表第1掲載品目(※4)を除く着色料の溶出が認められてはならないと定められています。そのため、おもちゃから水へ着色料の溶出が目視で認められた場合には、その溶出した着色料の確認を行います。

 大阪市立環境科学研究所では、市内を流通するおもちゃの検査を定期的に行い、安全性を確認しています。

 詳しくは、厚生労働省「器具・容器包装、おもちゃ、洗浄剤に関する情報」をご覧ください。



※1 過マンガン酸カリウム消費量は、被酸化性物質を酸化するために消費される過マンガン酸カリウム量をいい、試験溶液中に有機物が多く存在するとその値は高くなります。わが国では水中の有機物汚染指標として古くから水質基準などに用いられてきましたが、合成樹脂から溶出する有機物量を規制する目的で、おもちゃにも規格基準が設定されています。

※2 蒸発残留物は試験溶液を蒸発乾固したときに残る物質のことで、合成樹脂から移行する不揮発性物質の量を規制しています。

※3 フタル酸エステルは合成樹脂に柔軟性を与えるための可塑剤として使用されることがあります。一部のフタル酸エステルについては、動物実験で精巣などへの影響が認められることから、乳幼児が多量に摂取することがないよう使用が規制されています。可塑化された材料からなる部分は、DBP(フタル酸ジ-n-ブチル)、DEHP(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))、BBP(フタル酸ベンジルブチル)の3物質が規制対象となります。ただし、おしゃぶりやラッパなどの乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃは、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、DINP(フタル酸ジイソノニル)、DNOP(フタル酸ジ-n-オクチル)の3物質が追加され、計6物質が規制対象となります。

※4 食品衛生法施行規則別表第1(指定添加物リスト)には、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号など食品への使用が認められている着色料が掲載されています。

(大阪市立環境科学研究所 食品保健グループ 岸 映里)


▲ページの先頭へ