大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第122号− 2013年10月31日発行


農薬や動物性医薬品の検査結果の信頼性について


はじめに
 農業の効率化のために、殺虫剤や除草剤などの農薬が用いられています。また家畜の病気の治療や予防に抗菌剤などの動物用医薬品が用いられています。これらは適切に使用されれば食品にはほとんど残留せず、健康上の問題になることはありません。しかし、使用量や濃度、使用時期などを誤った場合には、基準値を超えて食品から検出されることがあり得るため、計画的に行政検査が行われています。

検査法
 農薬や動物用医薬品の検査は、主に「@食品から目的化合物を抽出する A測定の妨害となる物質を除去する B分析機器で濃度を測定する」といった流れで行われます。検査機関では、このような一連の手順からなる検査法を、検査項目、対象食品ごとに多数準備しています。

妥当性評価
 検査には、正しい結果が得られることがあらかじめ確認されている検査法が用いられます。この確認作業のことを妥当性評価といい、国は妥当性評価のためのガイドラインを整備しています。車の性能を表すのに、燃費や加速力などの指標があるのと同じように、検査法の性能にも「選択性」「精度」「真度」「検出限界」「定量限界」「感度」「適応性」などの指標があります(図1)。国が定めたガイドラインでは「選択性」「真度」「精度」「検出限界」について目標値が定められています。目標値を満たした場合に、妥当性があると判断され、検査に用いることができます。
 これまでは、独自の検査法を使用する場合に妥当性評価を行う必要があったのですが、平成22年改正の新しいガイドライン 1) では、国の定めた検査法に従って検査を行う場合でも、妥当性評価を行い良好であることを確認することになりました。


 


おわりに
 中国製冷凍ギョーザ事件 2) のような特殊な事件を除いて、食品に残留した農薬や動物用医薬品が原因で健康被害が生じる可能性はほとんどありません。たとえ基準値を超えて検出されたとしても、基準値は相当に安全を見越して設定されているため、健康への影響を心配しなくてよい場合がほとんどです。しかし、基準値を超える場合には、食品の回収命令や販売禁止などの重大な行政措置がとられることもあり、検査結果の信頼性を高いレベルで確保しておく必要があります。当所では、今後も信頼される検査を行えるよう努めていきたいと考えています。


1) 平成22年12月24日 食安発1224第1号「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドラインの一部改正について」

2) 平成19年12月末から平成20年1月にかけて生じた中毒事件。原因食品は、中国製冷凍餃子で、冷凍餃子からは基準値をはるかに上回る農薬(メタミドホス)が検出された。後に意図的に農薬を混入したとして容疑者が逮捕された。

(食品化学課 内田耕太郎)


▲ページの先頭へ