大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第126号− 2014年2月28日発行


大阪府における食品中の残留農薬検査結果の概要


 農作物の効果的・効率的な生産のため、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬が国内外で広く使用されています。食品衛生法では、食品に起因する衛生上の危害の発生を未然に防止するために、食品ごとに農薬の残留基準値が定められています。国産食品のみならず国内で流通する輸入食品にも、食品衛生法の残留基準値が適用されます。

 公衆衛生研究所では、食品衛生法に基づいて、府内に流通する野菜、果実、穀類、茶などを対象とし、残留農薬の検査を行っています。これらの検査食品は、保健所の食品衛生監視員により店頭から収去 ※1 されます。収去された食品は当研究所に搬入され、毎年約300検体の食品を対象として残留農薬検査が実施されます。ここでは、平成24年度中に実施した検査結果の概要についてご紹介します。

 平成24年度は、輸入食品149検体および国産食品128検体の合計277検体について、1検体あたり200項目(茶はフィプロニルを含む201項目)の残留農薬検査を実施しました。輸入食品では、オレンジ<22>、バナナ<22>、グレープフルーツ<17>、ブロッコリー<11>が、国産食品ではだいこん<17>、きゅうり<13>、ブロッコリー<11>、玄米<10>の検体が多く、全体で55種類にわたる食品の残留農薬検査を実施しました(< >内の数字は検体数を示しました)。

 図1に農薬が検出された検体の割合(検出率)を示しました。1つの検体から1項目でも農薬が検出された食品は、全277検体の約40%に相当する109検体でした。輸入食品と国産食品ごとの検出率は、それぞれ46%および32%でした。1つの検体から複数の農薬が検出される食品もあり、パプリカ、ぶどう、デコポンから5種類、チェリー、ブルーベリー、メロン、りんごから4種類の農薬が検出されました。

 しかし、これら農薬が検出された109検体の農薬の濃度は、後述する3検体を除いて、食品衛生法で定められた残留基準値を超過しませんでした。




 年間に検査した検体数が5以上の食品の中で、その半数に相当する50%以上の検体から農薬が検出された食品は、表1に示したとおり、パプリカ、グレープフルーツ、きゅうり、バナナ、トマトでした。

 検出された農薬は48種類におよび、この中で検出頻度が高い農薬を表2に示しました。クロルピリホス、クロルフェナピル、アセタミプリド、プロシミドン、ピラクロストロビン、シペルメトリンが10検体以上の食品から検出されました。クロルピリホスはバナナから、ピラクロストロビンはグレープフルーツから、クロルフェナピルやプロシミドンはきゅうりから、テトラコナゾールはパプリカから多く検出がみられました。

 特定の農薬が、限られた農産物から検出される理由は、農作物ごとの農薬使用方法、吸収量、農作物内での代謝分解速度にもよりますが、食品ごとに検査部位が異なることも挙げられます。たとえば、「もも」は皮や種を除いた部位を検査しますが、「グレープフルーツ」は皮を含めて果実全体を対象に検査を行います。食品ごとの検査部位は、食品衛生法で詳細に定められており、残留基準値への適合性を判断するために必要な条件です。




 平成24年度の検査で食品衛生法で定められた残留基準値を超過する農薬が検出された食品は3検体でした。きゅうりからクレソキシムメチル(殺菌剤)が0.8 ppm ※2 (残留基準値0.5 ppm)、輸入烏龍茶2検体から、それぞれフィプロニル(殺虫剤)が0.022および0.013 ppm(残留基準値0.002 ppm)検出されました。

 食品衛生法の残留農薬基準値は、主に、内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価(リスク評価)と厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の審議を経て設定されます。このリスク評価や審議の過程では、農薬ごとの一日許容摂取量 ※3 、国民健康・栄養調査に基づく食品の摂取量を考慮し、海外の残留基準値なども参考にされています。このため、同じ農薬でも、食品ごとに残留基準値が異なります。

 このように残留基準値は、安全性を考慮して慎重に設定されており、農薬の検出濃度や摂取量の程度にもよりますが、残留基準値を少しでも超過した食品を喫食すれば、必ず健康被害が発生するとは言い切れません。残留基準値を超過した食品は販売が禁止されるため店頭から回収されました。
 その他、大阪府の検査結果の詳細については以下から確認できますので、関心のある方はご覧ください。
 http://www.pref.osaka.lg.jp/shokuhin/kanshikeikaku/kennsakekka.html

 また、食品中の農薬等の残留基準の設定については、以下の厚生労働省ホームページをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html



※1 食品衛生法第28条第1項に基づき、食品関係営業施設に食品衛生監視員が立ち入り、試験検査をするために必要最少量の食品等を職権により無償で持ち帰ること
※2 食品1kg あたりに農薬が0.8 mg含まれる濃度
※3 毒性試験結果等の科学的データから、毎日一生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量


(食品化学課  福井直樹)


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