大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第129号− 2014年5月31日発行


牛乳について


 皆さんは牛乳を買う際に、何に注目して買いますか?それは銘柄や価格でしょうか、それとも賞味期限や消費期限でしょうか。今回は牛乳とその規格などについて説明したいと思います。

一般的に牛乳と言えば...
 牛乳には乳脂肪、タンパク質、乳糖、ビタミン、ミネラル等が含まれており、特にヒトが体を作るのに必要なアミノ酸が全種類含まれている良質な食品です。また、バター、チーズ、ヨーグルトやアイスクリームといった乳製品の原料にもなり、現代の食生活に欠かせないものとなっています。牛乳を生産するには、まず雌牛を妊娠・出産させ、乳が出るようにしてから搾乳します。乳牛から絞った乳は生乳と呼ばれ、静置しておくと乳脂肪が集まってクリームが分離します。このクリームはバターの原料になりますが、通常は生乳をホモジナイズ(均質化)し、乳脂肪を細かく分散させてクリームができないようにします。その後加熱して殺菌しますが、低温殺菌、高温短時間殺菌、高温保持殺菌、超高温瞬間殺菌等の方法が用いられています。超高温で殺菌後に無菌的に容器に充填されたものは、ロングライフ(LL)牛乳と呼ばれ、常温で長期の保存が可能です。

牛乳の分類
 店頭で普通に売っている製品の多くは上記のように製造されたもので、「牛乳」とは原材料として生乳を100%使用し、水やその他の成分は一切加えたり取り除いたりしていないものです。その成分は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で表のように規定されています。一般にはほとんど流通していませんが、特別牛乳さく取処理業の許可を受けた施設では「特別牛乳」が生産できます。特別牛乳は場合によっては未殺菌も認められます。これらの牛乳は、乳牛の品種がジャージー牛の場合は、比重と酸度の規格が多少異なります。また、生乳を加工しないので、季節や飼料で成分が少し変動します。
 生乳から一部の成分を取り出して製造したものが「成分調整牛乳」になります。このうち、乳脂肪を0.5〜1.5%に減らしたものが「低脂肪牛乳」、0.5%未満に減らしたものが「無脂肪牛乳」になります。「加工乳」は生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工したものになります。




乳の規格検査について
 当所食品化学課では、表に掲げた種類の乳について、無脂乳固形分、乳脂肪分、比重、酸度の理化学的な規格検査を、LL牛乳の場合はさらに保存試験も行っています。無脂乳固形分は乳を蒸発させて水分を取り除き、乳固形分を算出してから乳脂肪分を引きます。乳脂肪は水に混ざらず、硫酸に対しても安定であるので、乳に硫酸等を加え脂肪球を包む皮膜を破壊して、遠心分離して脂肪を集めて測定します。多くの市販されている牛乳はどちらの成分も規格よりも多く含まれており、これまでの検査で、無脂乳固形分や乳脂肪が規格を下回る事例はありません。

表示に関するルール
 表の6種類に乳飲料を加えた7種類を飲用乳として、これらについて乳事業者が自ら設定した自主ルールが「飲用乳の表示に関する公正競争規約」です。かつては原材料に牛乳を使用した商品も「コーヒー牛乳」や「フルーツ牛乳」といった名称で販売されていましたが、現在では生乳100%でないと商品名に「牛乳」と表示できません。公正競争規約ではこの他にも商品名や説明文に基準を設けており、消費者に中身を誤認させるような表示をさせないようにしています。例えば、成分が濃い印象を与える「濃厚」「特濃」などの文言は、乳脂肪分が3.8%以上、無脂乳固形分が8.5%以上であること、牛の品種名や原産地名はその品種、原産地のものが100%であること、等と決められています。この公正競争規約に基づいて表示されているものは、マークがつけられ、図のような一括表示欄にまとめて表示されています。


規格の見直しへ
 厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会は、2014年2月に乳と乳製品の規格について審議しています。表に挙げた項目では、比重などが見直しの対象になっています。比重は牛乳の水増しを防ぐために定めましたが、近年は家畜改良や飼料の向上で生乳の乳脂肪分と無脂乳固形分が増加し、比重が高くなる傾向があるため、現行の規格の上限を削除する案が検討されています。


(食品化学課 起橋雅浩)


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