大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第129号− 2014年5月31日発行


乾燥食品に生えるカビ


 そろそろ梅雨(つゆ)入りの時期が近づいてきました。梅雨は「黴雨(ばいう)」とも書かれ、雨の日が続きあちこちにカビ(黴)が生えやすくなることから生まれた言葉といわれています。
 さて、冷蔵庫のなかった昔、食料を腐敗させずに保存するためにいろいろな方法が考案されました。昆布や魚の干物などの乾燥食品、梅干しなどの塩蔵食品、ジャムなどの糖蔵食品などがその代表的なものです。それでは、これらはどうして腐敗しにくいのでしょう。

■ 水分活性とは
 細菌やカビなどの微生物は食品などで増殖する時、食品中に含まれる水分のうち、食品成分と結合していない水(=フリーな水)しか利用することができません。食品中にたくさんの塩や砂糖が含まれていると、その分だけフリーな水の割合が少なくなるため、微生物は一般に増殖しにくくなります。食品中の水分のうち、このフリーな水の「割合」を水分活性といい、0〜1.0で表します。水分活性の数字が小さいほど、微生物が利用できる水分の割合が少なくなります。

■ 水分活性とカビの種類
 私達の生活環境中にいるような一般的な細菌は水分活性0.90以下ではほとんど発育することができません。そのため、食品中の水分活性を下げることにより、食品を腐敗させる細菌の増殖を抑えることができます。しかし、残念なことに、カビの中には水分活性0.75でも生えることができる変わりものがいます。これらのカビは逆に水分活性が高すぎる(0.99以上)と生えることができないため、好乾性カビと呼ばれ、和菓子や魚介乾燥品など水分活性が低い食品を好んで汚染します。ユーロチウム、ワレミア、アスペルギルス・レストリクタス(写真)などが代表的な好乾性カビです。カビの中には、これらの他に、水分活性が高いところでしか生えられない好湿性カビ、水分活性が少し低いところまで生えることができる中湿性カビと呼ばれるカビもいます。このように、カビの種類はいろいろあり、空気中から落下して食品に付着したいろいろなカビの胞子のうち、その食品の成分や水分活性にちょうど適したカビが優位に発育し食品を汚染します。



 

■ カビの発生を防ぐために
 水分活性が低いところを好むやっかいものの好乾性カビも、生き物ですから水分は絶対必要です。水分活性0.55以下では、好乾性カビだけではなくほとんどの微生物が生きることができません。つまり、乾燥を徹底することでカビの発生を防ぐことができます。また、水分活性をそこまで下げることができない場合は、冷蔵する、冷凍する、真空パックするなどの方法を併用することで、カビ発生をより防止することができます。


(細菌課 久米田裕子)


▲ページの先頭へ