大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第131号− 2014年7月31日発行


温泉の禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等について


 温泉法では温泉を公共の浴用又は飲用に供する者は、施設内の見やすい場所に、温泉成分、禁忌症及び入浴又は飲用上の注意等を掲示しなければならないとされています。現在、環境省では、この掲示の適正を図るため、「温泉の禁忌症及び入浴又は飲用上の注意決定基準」及び「温泉の適応症決定基準」を定めていますが、昭和57年の策定から長い歳月が経っており、最新の医学的知見等を踏まえ、見直しを実施することとなりました。今年の夏に、「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等」が改訂される予定です。




温泉風景


 改訂される掲示等では、「温泉の禁忌症」、「温泉の入浴又は飲用上の注意」、「療養泉の適応症」についてそれぞれ基準が示され、以下の様に細分されます。



 主な改訂点は以下の5つです。
(1)温泉の一般的禁忌症(浴用)
 現行の温泉の一般的禁忌症(浴用)では妊娠中(とくに初期と末期)と示されていますが、この度の改訂ではこの文言は削除され、さらに他の疾病名も平易な用語を使用しています。列記すると、@病気の活動期(特に熱のあるとき)A活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、B少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、C消化管出血、目に見える出血があるとき、D慢性の病気の急性増悪期に改訂されます。
(2)泉質別禁忌症
 硫酸泉、硫黄泉の泉質別禁忌症(浴用)は現行と同様ですが、現行の塩化物泉、炭酸水素泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉の泉質別禁忌症(飲用)は削除されます。
(3)含有成分別禁忌症
 上記のように塩化物泉、炭酸水素泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉の泉質別禁忌症(飲用)は削除されますが、現行の泉質別禁忌症(飲用)に記載としていた内容を改訂では成分の濃度により区分けし、新たに含有成分別禁忌症(飲用)が追加されます。例えば、現行では、塩化物泉の飲用禁忌症は腎臓病、高血圧症、その他一般にむくみのあるもの、また、甲状腺機能亢進症のときはヨウ素を含有する温泉を禁忌するとなっています。一方、改訂の後はナトリウムイオンを含む温泉を1日(1200/A)×1000mlを超えて飲料する場合は塩分制限の必要な病態(腎不全、心不全、肝硬変、虚血性心疾患、高血圧など)が飲用禁忌症となります。ナトリウムイオンの他にカリウムイオン((900/A)×1000ml)、マグネシウムイオン((300/A)×1000ml)、よう化物イオン((0.1/A)×1000ml)を超えて温泉を1日に飲料する場合も塩分制限の必要な病態が示されています。なお、Aは温泉1kgに含まれる成分の重量(mg)となります。



ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉の禁忌症及び入浴又は飲用上の注意等の掲示例


(4)温泉の入浴又は飲用上の注意の掲示基準
@浴用の方法及び注意
 入浴前の注意、入浴方法、入浴中の注意、入浴後の注意、湯あたりに区別し、
・高齢者、子供及び身体の不自由な人は、1人での入浴は避けることが望ましいこと。
・入浴前後に水分を補給すること。
等に分かりやすく整理されます。
A飲用の方法及び注意
 現行の飲用上の注意事項に新たに以下の注意等が追加されます。
・15歳以下の人については原則的に飲用を避けること。
・飲泉場から飲泉目的で温泉水を持ち帰らないこと。
・飲用する際には、誤嚥に注意すること。
(5)療養泉の適応症の掲示基準
 @現行の療養泉の一般的適応症(浴用)と比較すると、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)・軽症高血圧・耐糖能異常(糖尿病)・軽い高コレストロール血症・軽い喘息又は肺気腫・自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)を新たに追加されます。
 A現行の療養泉の泉質別適応症では含銅−鉄泉、含アルミニウム泉の適応症が削除され、改訂では新たに単純温泉(浴用)、含よう素泉(飲用)の泉質別適応症が加わります。
 以上、今年の夏頃に改訂が予定されている「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等」について述べましたが、詳細をお知りになりたい方は以下の環境省のホームページをご参照下さい。
 もうすぐ暑い夏がそこまで来ています。暑い夏こそ熱い温泉に入ってサッパリとして、リフレッシュするのはいかがでしょうか。なお、浴用、飲用については、温泉場に掲示されている禁忌症は遵守し、適応症は参考にされてはと思います。

環境省関連ウェブサイト:
 http://www.env.go.jp/council/12nature/y123-14/mat03_1.pdf
 http://www.env.go.jp/council/12nature/y123-14/mat03_2.pdf


(生活環境課 田中榮次)