大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第132号− 2014年8月31日発行


大阪府で実施しているインフルエンザ菌・肺炎球菌の調査について


 インフルエンザ菌b型(ヒブ)及び肺炎球菌は、細菌性髄膜炎、肺炎、発熱をともなう菌血症の原因菌として重要であり、平成25年4月1日からはそれぞれ感染症法で「侵襲性インフルエンザ菌感染症」、「侵襲性肺炎球菌感染症」として全数把握対象疾患に指定されています。これらは、ワクチン接種による予防が可能であることから、小児用として平成20年にヒブワクチン、平成22年に7価*結合型肺炎球菌ワクチンが認可され(平成25年に13価*ワクチンに切り替え済み)、平成25年4月1日から予防接種法に基づく定期接種に指定されています。さらに、65歳以上の高齢者についても、平成26年10月に23価*肺炎球菌ワクチンの定期接種化が予定されています。

 ・感染症流行予測調査事業とは
 ワクチンによる感染症の予防政策を進めていくにあたっては、ワクチンの効果を調べてその妥当性を科学的に評価することが欠かせません。そのために厚生労働省が主体となって行っているのが、 「感染症流行予測調査事業」です。これは、わが国の国民がこれらの病気に対する免疫をどれくらい保有しているか(集団免疫の現状把握:感受性調査)、どのような型の病原体が流行しているか(病原体の検索:感染源調査)などの調査を行い、これらの結果と他の情報(地域、年齢、性別、予防接種歴など)をあわせて検討して、予防接種が効果的に行われていることを確認し、さらに長期的な視野で病気の流行を予測することを目的としています。
 インフルエンザ菌及び肺炎球菌についても平成25年度より「感染症流行予測調査事業」の対象疾患となり、大阪府は他の地域に先駆けてこの調査に参加しました。調査対象としたのは大阪府内で発生したすべての「侵襲性インフルエンザ菌感染症」、「侵襲性肺炎球菌感染症」で、血液または髄液より分離された菌株を収集してその血清型を調べました。平成25年8月から平成26年5月までに集まったのは、インフルエンザ菌が8株、肺炎球菌が76株(成人53株、小児23株)でした。


 ・侵襲性インフルエンザ菌感染症の調査結果
 インフルエンザ菌については、8症例のうち1症例が小児症例(髄膜炎)でしたが、血清型はすべてヒブ以外(無莢膜型7株、f型1株)という結果となりました。このことから、ワクチンがヒブによる侵襲性感染症の発生を抑えている一方で、それ以外のインフルエンザ菌についてはあまり影響がなかったと考えられます。


 ・侵襲性肺炎球菌菌感染症の調査結果
(図1)小児における7価ワクチンのカバー率*は8.7%と非常に低く、ワクチンの高い効果が示唆される結果となりました。また、もっとも多かったのは19A型(5株、21.7%)となりました。19A型は、昨年から接種が始まった13価ワクチンに含まれており、今後この血清型が減少していけば、ワクチンの有効性を確認することができると考えています。
(図2)成人における23価肺炎球菌ワクチンのカバー率*は75%とまだまだ高いことがわかりました。今回の調査でワクチン接種を受けていた人は約11%と低く(小児では約85%)、ワクチンの影響をまだあまり受けていないためと考えられます。従って、高齢者の定期接種が開始されれば、ワクチン接種率が向上し、将来的にワクチン対象血清型による感染症の減少が期待されます。



   



 ・今後の調査予定
 ワクチンの効果は長期的に検討していく必要があり、また、ワクチンにかかる政策の変更もあることから、今後も本調査は継続して実施されます。大阪府も引き続き参加しますが、今年度から他地域の自治体の参加も決まっており、大阪府を含めた広い地域が対象となることでより信頼性の高いデータが得られることが期待されます。

 *ワクチンの価数およびカバー率について
 肺炎球菌ワクチンは予防できる肺炎球菌の種類(血清型)が、ワクチンの種類によりますが、7価=7種類、13価=13種類、23価=23種類、に限定されます。カバー率とは、全体の症例数(菌株数)のうち、ワクチンに含まれる血清型の症例数(菌株数)がしめる割合のことをいいます。

(細菌課 河原隆二)


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