大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第133号− 2014年9月30日発行


食品表示制度が変わります


 いま、食品の表示に関する制度が大きく変わろうとしています。これまでは、図1のように「食品衛生法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」、「健康増進法」それぞれが個別に食品表示の基準を策定していたため、立法目的の相違や用語の不統一が相まって、複雑で分かりにくい制度となっていました。
 食品表示を行う目的は、食品を摂取する際の安全性の確保と消費者が自らの合理的な判断で食品を選択する機会の確保です。このためには表示を利用する消費者にも、表示を行う事業者にも分かりやすい制度とする必要があります。
 そこで、これら3つの法律から食品表示に関わる規定を独立させ、整理統合したのが平成25年6月28日に公布された「食品表示法」です。食品表示法では、「消費者の権利の尊重と自立の支援」、「小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響等に配慮」を基本理念とし、食品に表示すべき事項の指定と監視体制・罰則の強化などが盛り込まれています。
 なお、この食品表示法は公布後二年を超えない範囲で施行することになっており、現在、食品表示法における具体的な表示基準となる「食品表示基準(案)」のパブリックコメント(平成26年7月7日〜8月10日実施)が終了したところです。






図1. 現行の食品表示制度


 食品表示基準(案)では、表示のルールを分かりやすくするため、食品を「加工食品」、「生鮮食品」、「添加物」の3区分、食品の提供者を「食品関連事業者」と「食品関連事業者以外の販売者(バザーでの食品販売など、業としての食品販売でないもの)」の2区分とし、これらの区分ごとに共通ルール化を行いました。原則として、表示義務の対象範囲(食品、事業者等)の変更はありませんが、整理統合に伴って大きく変わる点をご紹介します。

@加工食品と生鮮食品の区分の変更
  JAS法と食品衛生法で異なっていた食品区分がJAS法の考え方に統一されます。これにより現行の食品衛生法では表示対象ではなかった簡易な調理・加工等を施したもの(例:ドライマンゴー)も加工食品とされ、アレルギー表示や製造所所在地等の表示義務が発生します。

A製造所固有記号の使用ルールの改善
  今年初めに発生した冷凍食品への農薬混入事件では、表示の不備で混入が疑われる食品の特定に混乱を来たしたことから、製造所固有番号の使用ルールが変更されます。
  今後は、製造所固有記号は原則として2つ以上の工場で製造する商品にのみ利用することができ、使用する場合は製造所所在地等の情報を消費者等が容易に確認できる様に、次のいずれかの事項を製品に表示することが必要になります。
   ・製造所所在地等の情報提供を求められた時の回答者連絡先
   ・製造所所在地等を表示したウェブサイトのアドレス
   ・当該製品の製造を行っている全ての製造所所在地等

Bアレルギー表示ルールの改善
  特定加工食品とその拡大表記が廃止されます。現行制度では、一般的にアレルゲンを含むことがよく知られている食品を特定加工食品とし、あらためてアレルゲンを含むことを表示する必要はないとしています。例えば「マヨネーズ」「オムレツ」は「卵」を使って作る食品としてよく知られているため、あらためて「卵を含む」と表記する必要はありませんでした。
  ところが近年、アレルギーを持つひとのための代替食品が作られるようになり、食品名だけではアレルゲンを含む食品かどうか判断できなくなってきたことから廃止することになります。

C栄養成分表示の義務化
  現在、任意表示である食品への栄養成分とその量に関する表示が、予め包装された全ての加工食品と添加物を対象に原則義務化されます。栄養成分を表示する際は図2の様式に従って表示します。太字で示した、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量)の量及び熱量は必ず表示しなくてはいけない栄養成分等です。これはナトリウムを食塩相当量として表示することになったことを除いて現行制度と変わりません。
  大きく変わったのは「飽和脂肪酸」と「食物繊維」が推奨表示(積極的に表示すべきもの)とされたことです。これらの栄養成分は、消費者への情報提供の面では義務表示とすべきものですが、義務表示にすると表示の実施が困難な事業者もでてくるため、推奨表示に留められたようです。従って、環境が整えば義務表示に移行する可能性もある栄養成分と言えます。
  また、事業者(特に中小の事業者)への負担を考慮して、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第九条第一項で消費税の納付義務を免除される事業者が販売する食品については、栄養成分の表示を省略できるとされました。




図2. 栄養成分表示様式


D栄養強調表示に係るルールの改善
  他の食品と比べて、栄養成分が「強化された」または「低減された」と表示する場合(相対表示)、これまでは絶対量として栄養成分毎に決められた基準値以上の差があればOKでした。図3は熱量についての強調表示の例ですが、Bのように絶対量として40kcal低減されていれば、低減率としてみると、わずか4%であっても「低減された」と表示しても問題ありませんでした。
  食品表示基準(案)では、これまでの絶対量による基準に加えて、比較対象食品と比べて強化または低減された割合が25%以上であるという条件が追加されました。図3でみるとAのみが相対表示を認められることになります。





図3. 強調表示の新ルール


E経過措置について
  新ルールへの移行猶予として、加工食品では食品表示基準施行後2年、添加物では1年(生鮮食品はなし)、栄養成分表示は5年の経過措置期間が設けられる予定です。

  以上、食品表示基準(案)の中から重要と思われる点について抜粋してご紹介しましたが、食品表示基準(案)は本体52ページ(別表等含めて340ページ)に及ぶため、全ての変更点についてはご紹介できませんでした。また、今後、パブリックコメントの結果次第では、食品表示基準(案)の内容が修正される可能性もありますので、最新の情報については、消費者庁のサイトでご確認ください。

  食品表示法及び食品表示基準(案): http://www.caa.go.jp/foods/index18.html

(大阪市立環境科学研究所 調査研究課食品保健グループ 萩原 拓幸)


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