大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第133号− 2014年9月30日発行


近寄らないで! 危険ドラッグ


 この夏、多くの方が新聞・ニュース等で「危険ドラッグ(違法/脱法ドラッグ)」という言葉を耳にされたのではないでしょうか。6月に発生した、危険ドラッグの服用が原因とみられる交通事故をきっかけに、危険ドラッグに関連する報道が相次いでいます。

 危険ドラッグは麻薬や覚せい剤等と同様の作用が予想される成分を含んでおり、多幸感・快感などを高めるために販売されている製品の総称です。これらの製品は、人体(特に中枢神経)に作用する成分を、粉末状にして容器に詰めたものやアルコール等の液体に溶かしたもの、シート状に加工したものなど様々な形態が存在しており、危険ドラッグ服用への抵抗感を小さくするような、目を引きやすいカラフルなパッケージで販売されています(図1)。なかでも、植物片に成分を混入し、『合法ハーブ』『お香』などと称して販売されている製品(図2)は、流通数が非常に多く、大きな社会問題となっています。これら危険ドラッグ製品の規制の難しさや、国・都道府県の対策については、以前お伝えした通りですが[1]、今回は、これら危険ドラッグ製品の『何が、どうして、危険なのか』について詳しくご紹介したいと思います。


 

図1. 危険ドラッグ製品のパッケージ


 

図2. 『ハーブ』製品の内容物


 現在、法律によって規制されている薬物は大きく「麻薬」、「覚せい剤」、「大麻」および「指定薬物」に分けられます(図3)。いずれも輸入、製造、販売等に加え、所持、使用、購入、譲り受けに対して厳しい制約が課せられています。「麻薬」、「覚せい剤」、「大麻」の成分は、動物実験等の結果、強い依存性があり、乱用の恐れが大きいとして規制される化合物です。つまり、「どれくらいの量を使用すれば」「どのような作用が現れるか」ということが広く研究されています。そのため、一部の薬物は医師・薬剤師の適切な管理の下、非常に有用な医薬品として用いられています。一方、「指定薬物」とは細胞や動物を用いた実験結果や流通の事実をもって、専門家の判断により、中枢神経に影響を及ぼす恐れがあり、さらに乱用の危険があると認められた化合物です。



 

図3. 乱用薬物に対する法規制の概略



 では、危険ドラッグに配合されている成分はどうでしょうか。
 法律による規制が行われると、すぐに規制外の新しい化合物が流通し始めます。このような新しい化合物について、販売者による科学的な検証はほとんど行われていません。つまり、配合されている成分が人体にどのような影響を及ぼすのか、まったく分からないのです。ごく微量の成分が劇的な作用を示すかもしれません。実際、過去に検出された化合物の中には、麻薬や覚せい剤として規制されている化合物よりも、強力な作用を持つものが多く存在しています。さらに、危険ドラッグには、一つの製品に複数の成分が含まれていることが多いため、相乗効果でより強力な作用が現れることも予想されます。つまり、危険ドラッグ服用者は自らの体で未知の薬物の人体実験を繰り返しているようなものです。
 さらに、このような危険ドラッグには、一つの製品に複数の成分が含まれていることが多いため、相乗効果でより強力な作用が現れることも予想されます。つまり、危険ドラッグ服用者は自らの体で未知の薬物の人体実験を繰り返しているようなものです。
 大阪府でも危険ドラッグの吸引・摂取が原因とみられる健康被害事例がこれまでに数多く報告されています[2]。その症状は多岐にわたり、時には命の危険にさらされることもあります。「法に触れない」=「使用しても問題ない」という考え方は大きな間違いであり、むしろ、正体不明の成分を服用することによる多大な不利益を被ることになります。興味本位の安易な行動が、自分自身の命のみならず周囲の人々、ひいては社会に大きな損害を与えることにつながります。

 大阪府立公衆衛生研究所では、危険ドラッグの流通実態の把握と取り締まりを目的として、危険ドラッグ製品の分析検査を実施しています。また、大阪府としては大阪府警や近畿厚生局と協力し販売店舗への立ち入りや指導を行い、社会から危険ドラッグを追放するための取り組みを行っています。また、危険ドラッグに関して、気にかかることや悩みがある方のために薬物使用に関する相談窓口等も設けられています[3]。
 しかしながら、やはり、危険ドラッグを社会から根絶するために最も効果的な対策は、危険ドラッグ製品を買わない・使わないことです。危険ドラッグが社会的な注目を集めている今こそ、私たち一人一人が薬物に対する意識を持ち、その危険性を認識して行動することを心がけましょう。

 [1] 大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph −第113号− 2013年1月31日発行
     http://www.iph.pref.osaka.jp/merumaga/back/113-2.html
 [2] 大阪府 危険ドラッグの使用によると疑われる健康被害状況について
     http://www.pref.osaka.lg.jp/yakumu/ihoudrug/idorakenkouhigai.html
 [3] 大阪府 危険ドラッグ等に関する相談窓口
     http://www.pref.osaka.lg.jp/yakumu/ihoudrug/#kochira

(薬事指導課)


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