大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第136号− 2014年12月28日発行


乳幼児は注意を!! RSウイルス感染症


 かぜを引き起こすウイルスの1つにRSウイルスがあります(図1)。夏のおわりから冬にかけて検出数が増加します(図2)。例年、インフルエンザウイルスの流行前に検出のピークが認められます。1歳までに50% 以上が、2歳までにほぼ100% の乳幼児が初感染を受けるとされています。大阪府内にある約200の小児科定点医療機関から報告された2013年のRSウイルス感染症患者報告数では、1歳未満の乳児が半数近くを占めます(図3)。RSウイルスは、感染しても免疫ができにくいため、生涯にわたり感染を繰り返しますが、症状は徐々に軽くなります。成人では、鼻かぜ程度の場合もあります。しかし、乳幼児では、細気管支炎や肺炎を引き起こし、入院治療が必要となる場合もあります。1歳未満(特に生後6ヵ月未満)や心肺に基礎疾患のある乳幼児、低出生体重児、免疫不全の場合は重症化しやすいため注意が必要です。




図1 RSウイルスの電子顕微鏡写真(大阪市立環境科学研究所撮影)
右下の白い棒の長さは200 nm (1 nm = 100万分の1 mm)





図2 RSウイルス感染症患者報告数(大阪府 2013年)      
 大阪府にある約200の小児科定点医療機関からの
RSウイルス感染症週別患者報告数を用いて作成。
大阪府感染症情報センターホームページ掲載のデータを使用
http://www.iph.pref.osaka.jp/infection/2-old.html)。
2012年12月31日〜2013年1月6日を第1週目として集計。




図3 RSウイルス感染症患者の年齢分布(大阪府 2013年)
図2のデータを用いて作成





RSウイルスの特徴
・ 強い感染力。
・ 感染者の咳などで生じた飛沫を吸い込んだり(飛沫感染)、飛沫が付着した手指や器物を介したりして体内に入る(接触感染)ことで感染します。
・ 家族内感染や保育所における集団感染、院内感染の原因にもなります。

主な症状
・ 咳
・ 鼻水
・ 発熱
・ 症状がひどい場合は、細気管支炎や肺炎など

ウイルス検査
迅速診断キット(10分程度で判定可能)があり、医療機関でウイルス抗原検査が可能です。現在(2014年11月末)、下記のいずれかに該当する患者で、RSウイルス感染症が疑われる場合に保険適用となります。
・入院中の患者
・乳児(1歳未満)
・パリビズマブ製剤*の適用となる患者(*:「予防」の項参照)

治療
・ 症状を和らげる対症療法が中心です。
・ 症状がひどい場合には、入院治療が必要となる場合があります。

予防
・ ワクチンはありません。
・ 流行期には、なるべく人ごみを避けて行動しましょう。
・ 外出後には、手洗いやうがいを心がけましょう。
・ かぜの症状がある場合は、なるべく乳幼児と接するのを避けましょう。
・ マスクをするなどして周囲の人へ感染を広げないようにしましょう。
・ RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制のために使用される薬(パリビズマブ)があります。RSウイルスに対する抗体を含んだ注射薬で、流行期を通して月1回筋肉内に投与します。投与にあたって条件があります。詳細は、メーカーホームページあるいは添付文書をご覧ください。


関連ホームページ
  IDWR 2013年第36号<注目すべき感染症>RSウイルス感染症
  http://www.nih.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-idwrc/3972-idwrc-1336-01.html
  RSウイルス感染症に関するQ&A(平成25年9月25日)
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html


(大阪市立環境科学研究所 微生物保健グループ 改田 厚)


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