大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第138号− 2015年2月28日発行


足湯のレジオネラ


 レジオネラ症は、レジオネラ属菌(以下、レジオネラ)を含むエアロゾル(水の微粒子)を口や鼻を通して気道から肺へ吸い込むことや、レジオネラに汚染された水を飲み誤って気道に入れてしまうこと(誤嚥)によって発症し、肺炎や風邪様症状を呈します。レジオネラは環境中に広く生息する細菌で、主に人工的に作られた水環境(浴槽水、冷却塔水など)から高率で検出されています。
 足湯は、服を着たまま膝から下をお湯に浸け、手軽に温泉が楽しめることから人気のスポットとなっています。最近では、温泉地、駅、ショッピングセンターなど屋外、屋内を問わず設置されています。しかし、足湯は公衆浴場法などの法規制の対象外であることから、衛生管理は施設設置者に委ねられており、設置件数や水質状態などの実態は十分に把握されていません。そのような中、2008年には鹿児島県で高圧洗浄機を用いて足湯浴槽を清掃していた男性がレジオネラ症を発症し、足湯によるレジオネラ感染が日本で初めて報告されています1)(図1)。




 では、足湯にはレジオネラ症の原因となるレジオネラは、どのくらい生息しているのでしょうか? 2009年〜2011年に行われた調査報告では、全国37都道府県の温泉水を用いた足湯196試料のうち、56試料(28.6%)からレジオネラが検出されています2)。その菌数は低いものの、レジオネラ症の原因菌として最も多いL. pneumophilaが優占種でした。
 感染経路がレジオネラの肺への吸入であることから、足だけをお湯につける通常の足湯利用ではレジオネラ症に感染する可能性は低いと考えられます。しかし、衛生管理を怠ると足湯浴槽内にレジオネラの温床となるバイオフィルムが形成され、その中でレジオネラが爆発的に増殖し感染リスクが高くなります。そのため、レジオネラ汚染を防止するためには、足湯の定期的な清掃や換水など継続的な維持管理を行うことが重要です。

 足に付着した土埃や有機物(皮脂や汚れなど)が足湯に入ると、バイオフィルムが形成されやすくなります。お湯を塩素剤で消毒している足湯もありますが、有機物が入ると塩素剤が消費され消毒効果が低下します。利用する側も足湯になるべく汚れを持ち込まないようにしましょう。



 1) 蓑田ら、足湯浴槽の清掃が原因と考えられたレジオネラ症の1例、鹿児島県環境保健センター所報、9、82-83(2008)
 2) 古畑ら、足湯からのレジオネラ属菌の分離状況、日本公衆衛生雑誌、59、333-338 (2012)


(生活環境課 枝川亜希子)


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