大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第139号− 2015年3月31日発行


『ごみ』は燃料?


 日々の生活で出るごみは、どのように処理されているのでしょうか? 人口がまだまだ少なく、ごみもあまり出なかった頃には、「貝塚」などの遺跡が示すとおり、1カ所に集められそのまま埋め立てていました。しかし、都市部に多くの人が集まるようになると、生活によるごみも集中し、それらを集めて埋め立てるためには、広い空地が必要になります。また、ごみを放っておくと、伝染病や腐敗による悪臭など衛生的な問題が出てきます。そのため、焼却により有機物を分解して効率的に嵩(かさ)を減らし、残った灰だけを埋め立てるようになりました。+

 ごみに限らず物を燃やすと熱が出ます。では、ごみの焼却で、どのくらいの熱が出るのでしょうか? 大阪市立環境科学研究所では、ごみの組成と焼却で出る熱量(発熱量)を昭和30年代から継続して調査しています。この調査では、大阪市の焼却工場に集められたごみの一部を取り出したものを調査試料としています。この試料を乾かして水分の比率を測定したのちに、表に示した可燃物6組成と不燃物4組成に分け、これらの重量比率を測定しています。次いで、可燃物は組成別に発熱量を分析します。平成元年度から25年度までの調査結果は、図の通りです。棒グラフは乾かした後の各組成の焼却量、折れ線グラフは1キログラムのごみを燃やした時の発熱量を表します。調査したごみの比率は、青色で示した水分が約30%、赤色で示した可燃物の合計が約60%、灰色で示した不燃物の合計が約10%となっています。焼却量全体では、平成6年度をピークに減少しています。折れ線グラフから、発熱量は平成4年度と9年度の間で大きく変化していますが、1キログラムのごみを燃やせば約10メガジュールの熱が出ることが分かります。





図 平成元年度から25年度までの大阪市のごみの組成別焼却量(乾燥後)と単位重量発熱量
の変化(不燃物4組成は合計として表示しています)


 この大きさは、石炭や石油などの化石燃料と比較するとどうでしょうか? 大阪市のごみの発熱量は、約10メガジュールですが、火力発電に用いられている石炭は約30メガジュール、灯油や重油は約40メガジュール(いずれも1キログラムあたり)とされています。ごみには、水分が多く含まれていますが、化石燃料の25〜30%程度の発熱量になります。

 この熱はどのように利用されているのでしょうか? 焼却工場では、発生した熱を発電に利用するほか、プールなどの周辺施設への温水の供給などを行っています。発電は、火力発電と同じように焼却炉に設置したボイラで発生させた高温高圧水蒸気のエネルギーでタービンを回転させて行っています。この電力は、焼却工場で消費するほか、一部売却されています。

 ごみ(バイオマス※1)による発電は「再生可能エネルギー※2」として供給されています。資源エネルギー庁のまとめ[文献1]では、国内で自給されるエネルギーのうち33.0%は廃棄物等によるものとされています。ごみを「燃料」とすることもリサイクルのひとつの方法(サーマルリサイクル)です。



参考文献
[1] 資源エネルギー庁サイト, http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html   (2015/02/01確認)

※1バイオマス 動植物などから生まれた生物資源の総称。バイオマス発電では、この生物資源を「直接燃焼」したり「ガス化」するなどして発電します。技術開発が進んだ現在では、様々な生物資源が有効活用されています。(http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/biomass/index.htmlより)

※2再生可能エネルギー: 法律で「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」として、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマスが規定されています。再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しない優れたエネルギーです。(http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.htmlより)


(大阪市立環境科学研究所 調査研究課都市環境グループ  酒井 護)


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