大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第140号− 2015年4月30日発行


マダニにご注意


 マダニは生涯にわたって温血動物の血液だけを餌にする吸血性のダニの仲間です。「ダニ」とひと言でいっても、土の中でひっそり暮らしているもの、植物の葉の上で暮らすもの、海で暮らすもの、私たちの身の回りで暮らすもの、はたまた私たちに寄生して暮らすものなど実に多様な種類がいますが、そのほとんどが目に見えないくらい小さなダニです。そんなダニの中にあってマダニは比較的体が大きくなんとか私たちの肉眼で見ることができます。さて、このマダニですが、都会に住む多くの人にとってはあまりなじみがないと思います。マダニはふだん野鼠、シカ、イノシシ、鳥類などの野生動物を吸血して暮らしており、たまたま野山や河川敷などに立ち入った人がマダニの被害に遭うことになります。農作業や森林での作業、アウトドアーでのレジャー活動などをされる方の中にはマダニにやられた経験のある人がけっこういるかもしれません。

 マダニは私たちの体に取り付いてから数時間から数日にわたって吸血するのでそれだけでもあまり気持ちのよいものではありませんが、それだけでは済まずに病原体をもらってしまうことがあります。わが国にはマダニが媒介する感染症として日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)、ライム病、野兎病、ロシア春夏脳炎、バベシア症がありますが、特に増加傾向にある日本紅斑熱と西日本で患者、死者が報告されているSFTSは注意が必要になっています。

 これらの感染症を防ぐためには、何よりもマダニに咬まれないようにすることが大切です。春の行楽シーズンは人の野外活動が活発になる時期ですが、冬を越したマダニがいっせいに出てくる時期とも重なります。これから野山に出かけるときは「マダニ」のことを頭の片隅にとどめておき、以下の注意を参考にしてください。

・野山へ出かけるときは、できるだけ長袖・長ズボンを着用し、しっかりした靴(できれば長靴)等を履いて、肌の露出を避ける。服装は白っぽい色のものの方がマダニを発見しやすい。また、虫よけスプレーを携行し、必要に応じて使用する。
・野山へ出かけた日は、帰宅後必ず入浴し、マダニがついていないかよく点検する。
・もし、マダニがついていたら自分でとらずに皮膚科を受診する(無理に引っ張るとダニの口が残ってしまい、化膿したり、結節ができて長くかゆみが続いたりする)。
・野山へ出かけてから一週間くらいたって、急に高熱が出たり、体に発疹が出てきたり、刺し口(マダニが取り付いた部位で、黒いかさぶたのようになる)のようなものがあった場合は、皮膚科や内科等を受診して、野山へ出かけたことを詳しく申告する。
・患者が多く発生している地域に出かけるときには、特に注意する
  (http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts.htmlなど参照)。


 
マダニのいる場所(矢印で示した落葉の中や細い枝先など)


   

    未吸血のマダニ


    吸血して満腹になったマダニ


(ウイルス課 弓指孝博)


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