大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第141号− 2015年5月31日発行


「浄水処理困難物質」の設定について


 平成24年5月に利根川水系の浄水場で、水質基準(0.08 mg/L)を上回るホルムアルデヒドが検出され、大規模な断水を伴う水質事故が発生しました。その原因は、群馬県の産業廃棄物処理業者の不十分な廃液処理によりヘキサメチレンテトラミン(以下「HMT」と記す)を含む廃液が、水道水源としている河川に流入したことによるものでした。このHMTは浄水処理により、ホルムアルデヒドを生成しますが(図)、事故当時、PRTR法制度において第一種指定化学物質に指定されていたものの、水道法に基づく水質基準項目、環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準項目、水質汚濁防止法に基づく有害物質や指定物質のいずれにも該当していませんでした。


 

図 ヘキサメチレンテトラミンからホルムアルデヒドへの加水分解


 水質事故の再発防止の観点から、厚生労働省は、厚生科学審議会生活環境水道部会及び水質基準逐次改正検討会において、通常の浄水処理(*1)により水質基準項目等を高い比率で生成するため、対応が困難な物質を選定しました。これらの物質を、水質基準、水質管理目標設定項目及び要検討項目とは別に、新たに「浄水処理対応困難物質」と位置付け、その取り扱いについて以下のようにまとめ、水道事業者等に周知を行いました(*2)。

1.「浄水処理対応困難物質」とは
 水質基準及び水質管理目標設定項目に該当しないが、通常の浄水処理により水質基準又は水質管理目標設定項目に係る物質のうち、人の健康の保護に関する項目に該当する物質を高い比率で生成することから、万一原水に流入した場合に通常の浄水処理では対応が困難な物質を対象とする(表)。
2.「浄水処理対応困難物質」の取扱い
  (1) 「浄水処理対応困難物質」に係る排出側での管理促進
  (2) 水質事故把握のための体制整備
  (3) 「浄水処理対応困難物質」によるリスクの把握
  (4) 影響緩和措置による対応能力の強化

  この中で、水質基準等物質を検査することにより検知できることから、当該物質そのものを新たに定期的な水質検査対象に加える必要はないとし、水源を共有する水道事業者等の間の連携を密にするとともに、河川管理者、環境部局等の関係行政部局や研究機関との連絡体制の強化、実施可能な措置及び役割の明確化により、事故発生時の状況を正確かつ迅速に把握できる体制の整備に努めることとしています。



   


*1 凝集沈殿、急速砂ろ過、塩素消毒を行う浄水処理
  高度浄水処理とは、上記に活性炭処理、オゾン処理、生物処理等を組み合わせた処理のこと
*2 健水発0306第1?3号 平成27年3月6日付け厚生労働省健康局水道課長通知「浄水処理対応困難物質」の設定について

(生活環境課 安達史恵)


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