大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第144号− 2015年8月31日発行


手足口病は何度もかかることがある病気です


 手足口病はその名のとおり、手、足、口に水疱性の発疹が出現する病気で主に小児がかかります。流行の規模に大小はありますが、毎年夏に患者が多くなります。エンテロウイルスの感染により起こりますが、その中でもエンテロウイルス71型、コクサッキーA6ウイルス(CVA6)、コクサッキーA10ウイルス、コクサッキーA16ウイルス(CVA16)が主要な原因として知られています。毎年のように流行の中心となるウイルスのタイプが変わるので、あるタイプのウイルスに一度罹患しても、別のタイプに何度も罹患する可能性があります。さらに、複数のウイルスのタイプが流行する年では、ひと夏に2回以上発病することもあります。
 2015年は大阪府では過去10年間で2番目に流行が大きい年になっています(図1)。例年であれば、春先から患者数が増加し、夏にピークとなる流行パターンを示しますが、今シーズンは、2014年の冬頃から徐々に患者数が増加していました。その時期のほとんどの患者からCVA16が検出されていた(図2)ので、夏にはこのタイプのウイルスが流行すると予測されていました。CVA16による手足口病は、比較的軽症であることが多く、熱はあまり高くなく(ない場合もある)、発疹も手、足、口腔内に典型的な水疱を形成し、一週間程度で回復します。冬から春にかけてはこのような症状の患者が多く、検出されているウイルスと患者の臨床症状が一致していました。ところが、2015年の5月以降、患者数の増加が際立つ時期にさしかかると、全身に広がる水ぼうそうのような大きな発疹がでる患者が報告されるようになりました。ウイルス検出状況もそれに合わせてCVA6が検出され始めました(図2)。このウイルスは2011年の夏に手足口病の流行がサーベイランス開始以降、最大になった年に患者から主に検出されていたものです。当時も患者の皮膚症状が重度で、回復後に爪が剥がれるなど通常の手足口病とは異なる症状の報告が相次ぎました。
 2015年4月から6月にかけて、CVA16とCVA6がともに検出されている時期には同じシーズンに2度手足口病に罹患した患者の検体が搬入されるようになりました。一般的にウイルス感染症では、2度目に罹患した場合は発症しないか、症状が軽く済む場合があります。しかし、CVA16とCVA6は比較的近縁なウイルスであるにも関わらず、感染するウイルスのタイプが異なる場合は、2度目の感染の場合も症状が軽くなりません。一度罹患したからと言って油断せず、夏場でも手洗い・うがいで感染を予防しましょう。









(ウイルス課 中田恵子)


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