大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第149号− 2016年1月31日発行


貝毒のはなし


 日本は海に囲まれた島国であることから、魚介類は古くから日本の食卓に欠かせないものです。しかし、魚介類の中には自然毒による健康被害のリスクを持つものも存在します。魚介類等がもつ自然毒は一般にマリントキシンと呼ばれ、フグのテトロドトキシンや麻痺性・下痢性貝毒が有名です。今回は貝毒について説明させていただきます。
 貝毒には、多くの種類が存在します。主に二枚貝が有毒なプランクトンを食べることにより、毒化し食中毒を引き起こします(表1)*1。健康被害件数はそれほど多くはありませんが、重症化することもあり、注意が必要です。貝毒の蓄積は見た目ではわかりません。また貝毒は熱に強く、加熱調理では無毒化されません。平成25年4月には大阪市内の防波堤付近で採取したムラサキイガイを調理・喫食することによる食中毒が発生しています。近年、毎年のように春先に大阪府海域の二枚貝から麻痺性貝毒が検出されています。潮干狩りに行っても、そのまま持ち帰ることができないことがあります。安全性の確保のため、海岸で採取されたアサリやトリガイについて、貝毒の確認検査が行われています。
 麻痺性貝毒や下痢性貝毒の検査には、マウスを用いた試験法が用いられてきました。しかし、近年下痢性貝毒については国際的に機器分析法の導入が進んでいます。日本でも、機器分析法を導入することになり、オカダ酸(以下OA)、ジノフィシストキシン-1及び2並びにそれらのエステル化合物について、OA当量に換算したものの総和を下痢性貝毒の規制値として定めました(表2)*2。 当所でも、機器分析法による検査が行えるよう、検査法マニュアルを作成し、試験法の妥当性評価を行いました。今後、必要がある場合には、この検査法を用いて下痢性貝毒の検査が行えるよう体制を整えています。
 日本で流通している多くの二枚貝は、産地等で検査が行われており、安全性に関して問題はないと考えられています。一方で、海岸の岸壁等に生息しているムラサキイガイやカキ等の二枚貝は安全性が確認されていないため、自分で採取して食べることはやめましょう。









参照
*1 厚生労働省:自然毒のリスクプロファイル
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
*2 平成27年3月6日付け食安発0306第1号 厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知 麻痺性貝毒等により毒化した貝類の取扱いについて

(食品化学課 山口貴弘)


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