大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第152号− 2016年4月30日発行


平成28年4月1日より「特定芳香族アミンを生ずるおそれのあるアゾ染料」を含有する家庭用品の規制がはじまりました


 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第2条第2項の物質を定める政令の一部を改正する政令(平成27年政令第175号)および有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成27年厚生労働省令第124号)の施行にともない、平成28年4月1日より「特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料」の家庭用繊維製品等への使用が禁止されました1)。これは繊維製品などが肌に長時間接触してアゾ染料が汗などに溶け出したり、舐めることでアゾ染料が唾液に溶け出して体内に入った場合、皮膚表面や腸内の細菌、肝臓等で還元分解されて、発がん性を有するもしくは疑われる「特定芳香族アミン(24物質)」(表1)を生成する可能性があることから使用が規制されるものです。1990年代半ばにドイツで初めて禁止され、その後2002年にはEUで、また、中国をはじめとするアジア諸国においてもEUと同様の規制もしくは自主基準が既に運用されています。
 対象となる家庭用品はおしめ、下着、手袋、靴下、寝衣などの繊維製品と、手袋、帽子などの革製品のうち通常の使用形態で直接肌に接触する部分で、あくまでもアゾ染料から生成する特定芳香族アミンに限定され、それ以外のもの(アゾ顔料やポリウレタンなどの一部の素材)由来の場合は規制対象外になります。特定芳香族アミンの各成分とも、家庭用品1グラムあたり各30マイクログラムの含有量を超えるものが、規制対象になります。



表1 特定芳香族アミンの一覧


アゾ染料について

 アゾ染料とは、分子のなかに「アゾ基(-N=N-)」という構造を持つ染料の総称で、全世界で3000種以上が使用されています。しかし、還元を受けて「特定芳香族アミン」を生成するものはアゾ染料の一部です。
 図1に還元の一例を示します。ダイレクトレッド28というアゾ染料の場合、還元を受けると、ベンジジンと、3,4-ジアミノナフタレン-1-スルホン酸ナトリウムに分解します。このうちベンジジンが基準に定められた「特定芳香族アミン」にあたります。



図1 ダイレクトレッド28の還元による特定芳香族アミンの生成

 分析は省令で定める試験法2)を用いて、合成繊維、天然繊維および革製品それぞれについて行います。アゾ染料の抽出と還元処理で生成した特定芳香族アミンを、ガスクロマトグラフ質量分析計で定量します。基準値を超過して検出した場合には、液体クロマトグラフを用いて確認試験を実施します。
 今回の法改正をうけ、公衆衛生研究所では平成28年度より大阪府内で流通する繊維製品中の「特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料」についても試買検査を実施し、市場に流通する家庭用繊維品等の安全確保に努めてまいります。


  1)有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第2条第2項の物質を定める政令の一部を改正する政令の制定について
   http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000114939.pdf
  2) 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第2条第2項の物質を定める政令の一部を改正する政令
   http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000114941.pdf

(生活環境課 小泉義彦)


▲ページの先頭へ