大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第152号− 2016年4月30日発行


麻しんにご注意ください

 麻しんは発熱と発しんを主徴とする非常に感染力が強い感染症です。現在は日本国内での患者発生が非常に少なくなっていますが、近隣のアジア諸国では発生が続いており、いつ国内に持ち込まれてもおかしくない状況は続いています。

麻しんの症状と疫学

 麻しんは麻しんウイルスによって引き起こされるウイルス性の感染症です。感染経路は、空気感染、飛沫感染で、非常に感染力が強いのが特徴です。免疫を持たない人が麻しん患者と接触すると、ほぼ100%感染します。潜伏期間は10日から2週間ほどで、くしゃみや鼻水、目の充血から始まり、高熱と発しんなどの症状が出ます。感染後はしばらく免疫抑制状態が続くため、二次感染にも注意が必要です。発症すると特効薬などはなく、対症療法しかありません。予防法は、ワクチン接種です。現在は麻しん風しん混合生ワクチン(MRワクチン)として、1歳時と小学校入学前の1年間の2回の定期接種が実施されています。
 麻しんは、2015年3月にWHOから日本国内での排除が認定されました。しかし、排除といっても国内での麻しん発生が全くなくなる訳ではありません。2015年も年間35例と非常に少ないながらも麻しん患者が報告されています。


外国からの麻しんの持ち込み

 日本国内の患者数は非常に少なくなりましたが、日本周辺のアジア諸国ではまだまだ多くの麻しん患者が報告されています。日本も所属するWHO 西太平洋事務局に属する国々の中では、日本との人的交流が多い中国、フィリピン、およびマレーシア、ベトナムなどを中心に2015年はおよそ45,000人の患者が報告されています。この様な状況下で、日本国内では、海外で麻しんに罹患し、帰国した後に発症する「輸入麻疹」事例の割合が年々増加しています。2015年に国内で報告された麻しん35例中17例(48.6%)が輸入麻しん事例でした。今後もこの傾向は続くと考えられ、麻しん常在地または流行地への海外渡航の際には、十分な注意が必要です。
 現在20歳代後半から40歳代前半の方は、麻疹ワクチンを幼少期に1回接種した世代です。この年代の方々は、近年の麻しん発生数の減少によって自然感染によるブースター効果(ワクチン接種後に麻しんウイルスにさらされることで、麻しんに対する免疫を高める効果)を受けにくかったために、麻しんに対する免疫が減弱している可能性があります。流行地渡航前には、抗体価のチェックやワクチン接種をおすすめします。



*World Health Organization Measles surveillance data を一部改変
http://www.who.int/immunization/monitoring_surveillance/burden/vpd/surveillance_type/active/big_measles_reportedcases6months.jpg?ua=1

ウイルス課(倉田 貴子)


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