大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第153号− 2016年5月31日発行


爬虫類関連のサルモネラ症

−カメ、トカゲ、イグアナ、ヤモリ、ヘビなどの爬虫類の多くはサルモネラを保菌しており、サルモネラを含む糞便を排泄しています−


 サルモネラは動物の腸管、河川水、下水などに広く分布している細菌です。人の病気として最も多くみられるのは食中毒で、サルモネラに汚染された食品を食べた後12〜48時間程度の潜伏期間を経て、激しい腹痛、下痢、発熱、頭痛、嘔吐などの症状が現れます。小児および老齢者は一般成人よりも重症になりやすく、とくに小児の場合には重度の血便や脱水症状、菌血症(※1)を起こすこともあります。
 主要な原因食品は鶏卵をはじめとした畜産物ですが、それら以外にも野菜などあらゆる種類の食品が原因となります。食品以外ではペット用爬虫類などの保菌動物との接触によって感染することもあります。

 英国の研究者たちが、2010〜2013年の4年間に発生した5歳未満の子どものサルモネラ感染症患者175人を調査したところ、48人(27%)が爬虫類のペットを所有する家庭で発症したものでした1)。それらの子どものうち23人(48%)が入院しており、これは爬虫類と関連がないと考えられた127人の中での入院が25人(19%)であったことと比較して有意に高い割合でした(図)。また爬虫類を飼っている家庭の入院患者のうち19人(83%)が12ヵ月未満であり、より月齢の低い子どもが重症になっていたことも明らかになりました。



 ペット用爬虫類の多くは海外から輸入されたもので、わが国に輸入された時点で既に高率にサルモネラを保有しています。爬虫類はサルモネラを保有していても無症状ですが、サルモネラを含む糞便を排泄して飼育環境を汚染します。何でも舐めてしまうような幼い子どものいる家庭では、ペットの爬虫類がリビングを自由に歩き回るような飼い方は危険です。また大人が爬虫類を肩などに載せた後、そのままの衣服で子どもを抱くようなことも避けるべきです。
 米国内では2011年以降に子どもがカメに触ったことを原因とするサルモネラ症の集団感染が繰り返し発生しています。日本国内では爬虫類に関連するサルモネラ症の調査が十分に実施されていませんが、小児に敗血症(※2)などの重篤な症状を引き起こした報告もあることから、厚生労働省は家庭における爬虫類の衛生的な取扱いの注意喚起を行っています2)



  1) Murphy D, et al. Reptile-associated salmonellosis in children aged under 5 years in South West England, Arch Dis Child,100:364-365(2015)
  2) 厚生労働省健康局結核感染症課、カメ等の爬虫類を原因とするサルモネラ症に係る注意喚起について(事務連絡 平成25年8月12日)



  ※1 菌血症:細菌が血液中に存在する状態
  ※2 敗血症:感染症をきっかけにして、全身に炎症反応が現れている状態


(企画調整課 田口眞澄)

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