大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第154号− 2016年6月30日発行


除草剤テフリルトリオンについて


 テフリルトリオンは植物色素生合成阻害作用により除草効果を発揮するトリケトン系除草剤のひとつで、1999年に開発され、2010年2月に農薬登録された比較的新しい農薬です(図1)。水に対する溶解度は64.2 g/L(pH7)と非常に水に溶けやすい性質を持っています(*1)。わが国におけるテフリルトリオンの出荷量は2011年に急増し、それ以降横ばいとなっております。大阪府においても同様の傾向であり、2014年の出荷量は0.168トンとなっています(図2)(*2)
 水道水における農薬類については現在、水質基準(51項目)を補う項目として位置づけられている水質管理目標設定項目に分類されています(*3)。水質管理目標設定項目の中の農薬類は現在120種類が挙げられていますが、テフリルトリオンの水道での実態については情報があまりなかったので、2016年5月現在、この120種類には含まれていません。
 厚生労働省は水道原水(水道水を作るのに使用する河川水や地下水)におけるテフリルトリオンの濃度がその目標値に対して高い値を示すデータが集積されたことから(*4)、2017年4月1日からテフリルトリオンを水質管理目標設定項目としての農薬類の1つに追加する予定にしています(*5)
 当所ではすでに2013年6月と2014年2月に、大阪府環境衛生課および大阪府内水道事業体と協力して22ヵ所の浄水場を対象に水道原水と浄水(水道水)中のテフリルトリオンの調査をしています(*6)
 その結果、水道原水での検出濃度は0.0000027〜0.00015 mg/Lで、検出率は6月が約36%、2月が約14%でした。2月に比べ6月に検出率が高かったのは、テフリルトリオンの使用時期を反映しているものと考えられます。一方、浄水においては全ての試料から検出されず、既存の浄水処理により処理されていることがわかりました(*6)
 テフリルトリオンのADI(**1)は0.0008 mg/kg-体重/日とされており、水道水での目標値は0.002 mg/Lに設定されています。水道原水での最高検出濃度はこの値の1/10に近い濃度になりました。テフリルトリオンは塩素消毒により分解されることが報告されており(*4)、我々の調査においても浄水から検出されませんでした。したがって、正常に浄水処理されている場合、水道水からテフリルトリオンを摂取することはないと考えられます。
 当所では2017年度からテフリルトリオンの検査実施に対応するため分析法の妥当性評価を行っています。








(生活環境課 高木総吉)


 【引用文献】
  *1:社団法人日本植物防疫協会、農薬ハンドブック2011年版
  *2:国立環境研究所 農薬データベース (http://db-out.nies.go.jp/kis-plus/index_3.html 2016年5月23日現在)
  *3:厚生労働省健康局長、水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について(健発第1010004号、平成15年10月10日)
  *4:平成27年度第2回水質基準逐次改正検討会資料2、水道原水での検出濃度が高い農薬への対応について(案) (http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000068171_2.pdf 2016年5月23日現在)
  *5:平成27年度水道水質検査精度管理に関する研修会資料、水道行政の最近の動向について (http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000116993.pdf 2016年5月23日現在)
  *6:平成25年度大阪府水道水中微量有機物質調査 (http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/4823/00016102/H25biryouyuukityousa.pdf 2016年5月23日現在)


 【語句説明】
  **1:人が一生涯にわたって摂取しても、有害な作用を受けないと考えられる化学物質の1日当たりの最大摂取量

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