大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第156号− 2016年8月31日発行


食品及び大気中の塩素系難燃剤デクロラン・プラス

 難燃剤は、プラスチックや繊維など可燃性の素材を燃えにくくするために用いられる薬剤です。今回紹介させて頂く塩素系難燃剤デクロラン・プラス(DP)については以前にもメルマガ(第114号、http://www.iph.pref.osaka.jp/merumaga/back/114-2.html)において、魚試料における実態調査の話をさせて頂きました。今回は食事と屋外大気吸入によるDPの一日摂取量の調査について紹介させて頂きます。

 食品の調査には「マーケットバスケット方式のトータルダイエットスタディ」と呼ばれる手法を用いました。この調査手法は、府内の一般的なスーパーマーケットから100種類以上の食品材料を購入、調理した後、摂取量の比率に基づき、13ある食品群ごとに混合試料を調製します(表)。これらの試料を分析し、その結果に基づき摂取量を算出するというものです。一方大気の調査には、ハイボリュームエアーサンプラーという装置を使用して捕集した大気中の粉塵を分析し、1日あたりの大気吸入量1)に基づき摂取量を算出しました。

 DPは13種類の食品群のうち4つの群(3、5、10、11群)から試料1 gあたり1.5 - 3.3 pg2)の濃度で検出されました。一方大気中のDP濃度は1立方メートルあたり7.1-15.4 pg (平均値11 pg)でした。これらの検出値を基にDPの1日摂取量を算定したところ、成人の場合食事から580 pg、1日中屋外大気を吸入したと仮定した場合、大気から170 pg摂取していることがわかりました(図)。今回検出された濃度は非常に低く、直ちに人体に影響を与える濃度ではありませんが、DPが典型的な高蓄積性の特徴を有し、またその生産量が増加していることから、今後も安心できる生活を守るために監視を続けていきたいと考えています。



 
1) 1日あたり15.3m3, アメリカ合衆国環境保護庁(US EPA), 2011
2) 1pgは1兆分の1g

(食品化学課 柿本健作)

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