大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第157号− 2016年9月30日発行


化学物質による住宅等室内空気汚染の現状と対策

 住宅等の室内空気中には様々な化学物質が存在し、喫煙により生じる成分なども含めるとこれまでに約4000種類の化学物質が室内空気中から検出されています。これらの化学物質の発生源は、主に「建築材料」、「家具等の持ち込み品」、「居住者の活動」に大別されますが、屋外から大気により室内に流入する化学物質もあります (図)。



図. 住宅室内空気中化学物質の主な発生源


 室内空気中の化学物質が主要な発症原因とされるシックハウス症候群や化学物質過敏症が、1990年代後半から社会的問題となりました。その対策として、厚生労働省では、壁紙や合板の接着剤、塗料、シロアリ防除剤など建材が主要な発生源となる可能性の高い化学物質を中心に13物質について室内空気中の濃度指針値1)を設定しました (1997年〜2002年)。また、国土交通省では、建築基準法を改正 (2002年) し、ホルムアルデヒドの建材への使用制限等の措置を講じてきました。これらの対策により、対象とされた化学物質 (以下、規制化学物質) が原因となるシックハウス症候群の発症事例は減少しました。
 しかし、最近は、規制化学物質の代替となる化学物質が建材等に使用され、それが原因と推定されるシックハウス症候群の発症事例が各地で報告されています。また、家具や日用雑貨などの家庭用品の購入・使用によりシックハウス様症状を発症したとの相談が当所にも多くあり、居住者が室内に持ち込んだこれらの物品から発生する化学物質による健康被害は全国的にも多発しています。
 このような現状とともに、上記の化学物質室内濃度指針値の策定後10年以上経過していることなどの理由から、厚生労働省では、2012年より、2004年以降途絶えていた「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」2)を再開しました。検討会では、諸外国における空気中化学物質の規制に関する情報収集を進めるとともに、国立医薬品食品衛生研究所 (国立衛研) と連携して住宅室内空気の汚染調査などを実施しています。当所も国立衛研からの依頼を受け、同調査に協力しています。今後、これらの調査結果を参考にして、生活衛生上居住者に影響を及ぼす可能性の高い化学物質について、新たに濃度指針値が順次策定されていくものと考えられます。

1) 室内濃度指針値:
 一生涯その値以下の濃度に曝露されたとしても通常は有害な健康影響がないであろうと判断される室内濃度。現在、ホルムアルデヒド (100 μg/m3)、アセトアルデヒド (48 μg/m3)、トルエン (260 μg/m3)、エチルベンゼン (3800 μg/m3)、キシレン (870 μg/m3)、スチレン (220 μg/m3)、p-ジクロロベンゼン (240 μg/m3)、テトラデカン (330 μg/m3)、クロルピリホス (1 μg/m3、小児では0.1 μg/m3)、フェノブカルブ (33 μg/m3)、ダイアジノン (0.29 μg/m3)、フタル酸ジ-n-ブチル (220 μg/m3)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル (120 μg/m3) の13物質について設定されています。

2) 厚生労働省関連ホームぺージ:
 シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 (議事録および資料等)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=128714)



(生活環境課 吉田俊明)

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