大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第159号− 2016年11月30日発行


貝の毒化と大阪府の取り組み

 毎年春から夏にかけて、大阪府の海水浴場には数万人が潮干狩りに訪れます。通常、採れた貝は持ち帰ることができますが、時期によっては、お土産用の貝と交換になることがあります。なぜそのまま持ち帰れないのかというと、貝が毒化していることがあるからです。植物プランクトンの中には、人にとって有毒な物質を生産するものがあります(図1)。貝がこのような植物プランクトンを食べ、毒を体内に蓄積した場合に毒化します。下痢などの消化器症状を引き起こすものを下痢性貝毒、麻痺症状を引き起こすものを麻痺性貝毒といいます。近年、大阪湾では3月から6月にかけて、麻痺性貝毒を産生する植物プランクトンが増加する傾向があります。
 当所では府内市場などに流通する貝や大阪府海域の貝が安全かどうか検査を行なっています。流通品については年次計画に基づいて計画的に実施しています。また、大阪府海域の貝については、大阪府立環境農林水産総合研究所が行なう原因植物プランクトンの発生状況調査(参考1)の結果を受けて、基準値を超えた場合に実施しています。これまで貝毒の検査はマウスを用いた動物実験によって行なってきましたが、今年から下痢性貝毒についてはLC-MS/MSと呼ばれる分析機器で検査しています。この検査では、オカダ酸群であるオカダ酸、ディノフィシストキシン-1、ディノフィシストキシン-2(図2)の濃度に、それぞれの毒性に応じた係数(毒性等価係数)を乗じ、その総和を規制値と比較しています。
 大阪府ではこれらの調査に基づいて防止策を講じており、近年、流通品が原因の食中毒は発生していません。一方で、自ら採取した貝による食中毒は発生しており(参考2)、自ら採取する場合には、貝毒発生情報を収集し、安全宣言が出ていない海域の貝を食べないように注意しましょう。

 参考1 大阪湾貝毒原因プランクトン情報  http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/suisan/gijutsu/kaidoku/index.html
 参考2 貝毒の発生状況  http://www.pref.osaka.lg.jp/shokuhin/shokutyuudoku/kai.html



図1 貝毒の原因となる植物プランクトン
(1, 2→下痢性貝毒、3, 4→麻痺性貝毒)
(写真:地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所提供)


図2 下痢性貝毒の構造

(食品化学課 内田耕太郎)

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