大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第162号− 2017年2月28日発行


学校給食における食物アレルギー対策について

 食物アレルギーは、「ある食物を食べた後、免疫学的機序を介して身体に不利益な反応が引き起こされる現象」のことで、健康に負の影響を及ぼします。原因食物の誤食や食品への混入により、食物アレルギーを発症する可能性があります。平成24年に、東京都で食物アレルギーを有する児童が給食を食べた後にアナフィラキシーショックの疑いで亡くなり、学校給食の食物アレルギー対策が社会的に大きく注目されました。
 学校での給食提供における食物アレルギーを有する患者児童への対策としては、除去食、代替食、献立表対応、弁当対応が挙げられます(表)。大阪府立公衆衛生研究所では、平成25年に大阪府内7市の小学校における給食の食物アレルギー対策について、保健所と協働して調査を行いました1)。その結果、7市のうち除去食が5市、代替食が2市、献立表対応が6市、弁当対応が6市でそれぞれ実施されていました。また、除去食や代替食において、該当する食物の混入は確認されず現場の方々の多大な努力によって適切に提供され、誤食が防止されていることが分かりました。ただ一部の市で、ガイドライン2)に示された医師の診断に基づく学校生活管理指導表3, 4)が十分に活用されていなかったため、このことは今後の課題と考えられました。医師の診断に基づくことで、本来対策が必要な患者児童に確実に対策を講じることができ、現場の負担が軽減され、結果として発症防止につながります。また、食物アレルギーの場合、個人差はありますが、児童の成長とともに食べられる原因食物の量が増え、耐性を獲得する可能性があります。医療機関を定期的に受診し、診断結果を更新していくことで耐性確認ができ、原因食物の除去が不要となる可能性があります5)。食物アレルギー対策の推進には、給食現場の方々の努力だけでなく、保護者、医師、学校教職員など関係者が共通認識をもって連携することが必要です6)。学校生活管理指導表は、対策に医学的根拠を紐づけし、関係者間の情報共有の手段として使用されるため、その活用が重要となります。
 前述の大阪府内7市においては、調査後も、学校給食のマニュアル整備(医師の診断に基づくこと、保護者との連携、発症事故後の対策を含む)などの食物アレルギー対策が強化されています。また最近では、代替食のような食物アレルギーに配慮した食品をスーパーの売場で見かけるようになりました。給食だけでなく、家庭の食事においても患者児童の食品の選択肢が増えることは、生活の質の向上に役立ちます。今後もこうした対策の強化が広がることが望まれます。



表 学校における食物アレルギーを有する患者児童への対策5)
対策
概要
除去食*1保護者側から申請のあった原因食物を調理の過程で除去して、給食を提供する。栄養価が不足する可能性がある。
代替食*1原因食物を調理過程で除去し、除去分の栄養価を他の食品で補った給食を提供する。
献立表対応*2献立表を保護者や担任に事前に配布し、保護者や担任または児童自身の判断で原因食物を給食から除去する。
弁当対応*2給食のうち、一部または全部を弁当持参にして栄養価を補う。
*1 食物アレルギー食とされ、積極的な対応と考えられる。献立表と弁当の対応を組み合わせることで効果が高まる。
*2 事情により食物アレルギー食を提供できない場合の対応である。

 参考文献
 1) 清田ら,食品衛生学雑誌, 56(4), 151-156, 2015.
 2) (公財)日本学校保健会,学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン, 2008.
 3) (公財)日本学校保健会 学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)
 4) (公財)日本学校保健会 学校生活管理指導表 活用のしおり〜保護者用〜
 5) 斎藤ら,小児アレルギーシリーズ「食物アレルギー」,診断と治療社,2009.
 6) 文部科学省スポーツ・青少年局長「今後の学校給食における食物アレルギー対応について(通知)」(25文科ス第713号,平成26年3月26日).

(大阪市立環境科学研究所(併任)大阪府立公衆衛生研究所 清田恭平)

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