2005年1月27 日 第17号
目次
 
・ 今月の話題
 「インフルエンザ流行の兆しか?」
 「鳥インフルエンザの現況」 
 「ノロウイルス特別講演会を開催」
・ 研究の窓から
「大阪府内で5、6月に多発したノロウイルス集団発生」
「イムノクロマトグラフを用いた便中ノロウイルス検出法の開発」
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*今月の話題
「インフルエンザ流行の兆しか?」
 
 昨年9月10月に北摂地域で小流行したのち、すっかり影を潜めていたインフルエンザですが、年が明けてからA香港型インフルエンザウイルスが豊中市(1月13日、15日、17日、20日)箕面市(1月17日)門真市(1月17日)、およびB型インフルエンザウイルスが豊中市(1月17日)箕面市(1月20日)の小児科で採取された検体から分離されました。現在インフルエンザの流行は小さいですが、これから本格的に流行し始めるかもしれません。 (ウイルス課 加瀬)
 
「鳥インフルエンザの現況」
 
 1年前より流行している鳥インフルエンザは一向に治まる気配がありません。中国、東南アジアではH5N1による家禽類の感染が継続的に報告されています。特に、タイ、ベトナムではH5N1の人への感染例が多発し、死亡者も出ています。2004年1月28日以降2005年1月21日までの間に、タイでは17名の患者と12名の死亡者が、またベトナムでは35名の患者と27名の死亡者の報告があります。この型以外にも、家禽や野鳥からH5N2、H2N2、H7N2などが世界各国で検出されており、自然界で鳥インフルエンザの濃厚な汚染が進んでいることをうかがわせます。新型インフルエンザとしてどの型が登場するのかは分かりませんが、監視を強化していざという時に備えなければなりません。(感染症部 奥野)
 
「ノロウイルス特別講演会を開催」
 
 新聞報道でご存知のように、昨年末から今年1月にかけて、例年のように感染性胃腸炎、特にノロウイルス感染性胃腸炎が多数発生しています。今年は高齢者介護施設での発生が多く、発症が原因で、高齢者や幼児に亡くなった方々もおられます。
 大阪府内(大阪市、堺市を除く)でも、昨年12月から1月18日現在まで、18件の集団発生が報告されており、有症者数は843名になっています。このうち14件は社会福祉施設、3件は医療施設でした。
 ノロウイルス感染性胃腸炎は、大人では通常、発症期間が1日から2日と短く、症状も吐き気と下痢だけの場合が多いため、それほど深刻な感染症ではありません。ただ、非常に感染力が強く、10個から100個のウイルスで感染します。また、高齢者介護施設での集団発生が多発し、死亡例も出ていることから、大阪府では深刻にとらえて各種の対策を行っています。
 公衛研でも1月19日ノロウイルス特別講演会(臨時公衛研セミナー)を行い、ノロウイルスの検査法と集団発生事例の紹介、感染防御の方法などについて報告しました。会場には保健所や他の自治体職員なども多数参加されており、活発な質疑応答がなされました。
 患者さんの便・吐物など試料採集・運搬方法に関する質問では、当所ではノロウイルスだけではなく同じような症状を引き起こす病原体も検査しており、親指大以上の試料を乾燥させないで(できれば所定の容器に入れて)運搬することをお願いしましたが、紙おむつなどのままの場合でも便が乾燥しないようにビニール袋などに入れれば検査できることが説明されました。
 ノロウイルスは吐物等が除かれたところからでも、十分な消毒がされていなければ感染する事例が報告されました。このウイルスはアルコールでは消毒力が弱く、次亜塩素酸ナトリウム溶液が有効で、家庭ではキッチンハイターを薄めて用いる方法もあります。ただ、腐食性があり、酸と混ぜると塩素ガスが発生しますので注意が必要です。汚染したドアノブから感染が広がった例もあり、手洗いとうがいの励行が大事です。流水での手洗いでも効果があります。 (ウイルス課 山崎)
 
*研究の窓から
「大阪府内で2004年5、6月に多発したノロウイルス集団発生」
 
 2004年5月-6月にかけて小学校を中心にノロウイルスの集団発生が多発しました。日本の小児ノロウイルス感染の流行期は一般的に晩秋から初冬にかけて、冬期の食中毒シーズンの前と考えられています。非流行期に発生したノロウイルス集団発生の経過ならびに本流行の実態を明らかにすることを目的に分子疫学的解析を行いました。
 ノロウイルスは遺伝子の型によって31種類に分類されます。2枚貝などによる食中毒では、人間の排泄物によって汚染された海水中のノロウイルスが、プランクトンなどと一緒に貝の消化器官に濃縮されて感染するために、複数の型のノロウイルスが患者の排泄物から検出されます。ところが直接人から人へ感染した場合には、不思議なことに、一つの型のノロウイルスが検出される場合が多いことが知られています。
 2004年5月-6月にかけて感染症として扱った集団発生事例9例、2001-2003年の同時期(4-6月)に感染症として対応した集団発生事例5件、また2003/04年感染症サーベイランスにおいてノロウイルスが原因であった小児散発事例19例から検出されたノロウイルスのPCR産物のDNA塩基配列を調べました。
 2001年から2003/04年冬季までに発生した集団例ではG2/4 、G1、一方、散発例では G2/3、G2/4、G2/6型に分類され、その中でもG2/4が主要な型でしたが、2004年5月-6月の集団発生では全てG2/2型でした。この集団発生は大阪府内において同時多発的に発生し、地理的にも広範なものでした。冬期の流行株と異なるタイプがいつ、どのような形で小児の間に急速に拡まっていったのか、さらに解析をすすめて明らかにしていきたいと考えています。 (ウイルス課 左近)
 
「イムノクロマトグラフを用いた便中ノロウイルス検出法の開発」
 
 ノロウイルスは人間の消化器官内で増殖するために、実験動物や培養細胞で増殖することができません。そのため、現在ノロウイルスを検出するためには、ウイルス遺伝子(RNA)が便などの試料中にあるかどうかを調べています。検査の工程は1)試料からRNAの抽出、2)RNAを鋳型にしてDNAの合成、3)DNA増幅、4)DNAの長さを調べる、判定が難しい場合は5)DNAの塩基配列を調べる、で研究室に試料が届いてから早くても1日必要です。
 ノロウイルスはG1型が14種類、G2型が17種類あり、抗原抗体反応によって検出することが困難でした。私達は多くの型に共通したウイルスの抗原を認識する抗体を作ることに成功しました。これらの抗体を利用して、臨床の場で素早くスクリーニングに使える方法を開発しています。
 抗原抗体反応を用いて抗原(ノロウイルス)を検出する方法は、エライザ法など幾つかの方法がありますが、感度が高く、試料を添加してから判定まで15分程度でできるイムノクロマト法を選びました。
 RT-PCR法で判定した人112名の便を用いて、この方法の評価を行ったところ、目標に達していることがわかりました。現在、幾つかの研究所にこの方法の評価をお願いしています。 (細菌課 依田)
 
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