大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン「かわら版@iph」3号をお届けいたします。
 「かわら版@iph」は通常は月1回の発行ですが、感染症のアウトブレイクや健康危機発生時には迅速に健康情報をお知らせできるようにしたいと考えております。
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                                                               2003年11月28 日 第3号        
    目 次
・ 今月の話題 
  1) インフルエンザぽつぽつ発生
  2) SARSウイルスに対するワクチンの開発
・ 研究の窓から
  1) プレス事業所での騒音調査(小規模事業所における作業環境管理の取り組み)
  2) 水道原水および浄水中のダイオキシン類について
・ 図書紹介 「必携—生物化学テロ対処ハンドブック」
・ お知らせ 新ホームページ「地方衛生研究所ネットワーク」開設(全国地研協議会)
・ 質問・問合せはこちらまで。
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・ 3号に対するご意見はこちら
 
* 今月の話題
1)インフルエンザぽつぽつ発生
 涼しくなり空気が乾燥してくると共にインフルエンザの情報も入ってきます。大阪府内では、9月の末から、こちらに一人あちらに一人と発生していましたが、11月17日からの1週間に12人の発生になりました(府内304定点からの報告数)。箕面市の患者さんからは今シーズン初のインフルエンザウイルスA香港型が分離されました(11月10日大阪府報道発表)。
 この兆候は、流行へつながるのか、単なる散発なのかまだわからないところです。いずれにしても、「外出後の手洗い・うがいの励行」「十分な栄養や睡眠」でこれからの冬に備えましょう。
 
2)SARSウイルスに対するワクチンの開発
 厚生労働省の「重症急性呼吸器症候群(SARS)の診断および検査手法等に関する緊急調査研究」(研究代表者 国立感染症研究所所長 吉倉 廣)の中の「SARSウイルスに対するワクチンの開発」(分担研究者 国立療養所近畿中央病院 岡田全司)に関して大阪府立公衆衛生研究所もその一端を担うことになり本年11月より研究を開始しました。
 
* 研究の窓から
 1)プレス事業所での騒音調査(小規模事業所における作業環境管理の取り組み)
 大阪府内には約50万の小規模事業所(50人未満)があり、多数の府民が働いています。そこでは、鉛や有機溶剤などの有害物取扱作業、騒音や振動などの有害な物理因子に曝露される作業、あるいは腰痛などの原因となる筋骨格系への負担作業などがあり、勤労府民の健康障害の要因となっています。しかも、健康診断や作業環境測定の実施率が極めて低いのが現状です。このような事態に対応するため、公衛研・生活衛生課ではセーフティーネット事業として、いくつかの取り組みを行っています。
 有害な物理因子管理の取り組みとして、プレス事業所での騒音調査を紹介します。36事業所を調査し、作業場の騒音レベル、作業者の曝露騒音レベル、そして聴力の測定を行いました。作業場の騒音レベルは、第1管理区分(良好)が2事業所(5.9%)のみで、第2管理区分(改善努力が必要)が8事業所(23.5%)、第3管理区分(改善が必要)が24事業所(70.6%)でした。
 作業者の曝露騒音レベルは83.2から101.6dB(A)であり、23人中21人(91.3%)が8時間曝露の許容基準(85dB(A))を超えていました。聴力測定を行った97名の内、要観察者A(前駆期の症状が認められる者)が19.6%、要観察者B(軽度の聴力低下が認められる者)が33.0%、要管理者(中等度以上の聴力低下が認められる者)が11.3%で、64%に聴力低下が見られました。この調査では、同時に聴力保護具であるイヤマフと耳栓を支給しましたが、その後の追跡調査で、24事業所では使用するようになったことがわかりました。(生活衛生課 田淵)

2)水道原水および浄水中のダイオキシン類について
 ダイオキシン類はゴミの焼却過程などで非意図的に合成される化学物質であり、構成成分としてポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD、75種類)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF、135種類)およびコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB、十数種類)が含まれています。これらのうち毒性があるとみなされているのは29種類です。
 ダイオキシン類の由来はその組成を調べることでわかります。一般的に土壌や水中で検出されるダイオキシン類の組成は、主成分が過去に使用された農薬(PCPおよびCNP*)の不純物由来であり、焼却時に生成したものが一部混じっています。
 公衛研環境水質課では大阪府内の水道原水および浄水中のダイオキシン類濃度を測定しています。大阪府内における水道原水中のダイオキシン類濃度はすべて、水道水質基準の指針値である1.0pg-TEQ*/L未満で、水道浄水中のダイオキシン類濃度はさらに低く、すべて0.1pg-TEQ/L未満でした。ダイオキシン類は水に溶けにくい性質であるため、水中ではそのほとんどが浮遊物質に吸着して存在しています。現在の沈殿・濾過を含む浄水処理で十分に処理されることが確認されています。
 *PCP、CNP:現在は使用が認められていない塩素系農薬で、PCPは1960〜1970年代、CNPは1970〜1980年代に大量に使用されました。
  *TEQ:毒性等量のことで、種類ごとに毒性が異なるために、それぞれの種類ごとに係数を乗じて、最も毒性の強い2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの量に換算した値を表しています。 (環境水質課 高木)
 
・図書紹介
「必携—生物化学テロ対処ハンドブック」 生物化学テロ災害対処研究会編
 国立医薬品食品衛生研究所はじめ陸上自衛隊医学実験隊、消防庁、日本中毒情報センター、国立感染症研究所、警察庁、大学医学部の研究者らによって、わかりやすく整理収載した資料・具体的シミュレーション・連携手順解説書。
 定価2,800円 診断と治療社(2003年10月刊)
 
・ お知らせ
新ホームページ「地方衛生研究所ネットワーク」開設(全国地研協議会)
 感染症情報、健康危機管理情報、食品苦情Q&Aなど各地の情報をまとめてみることが出来ます。
http://www.chieiken.gr.jp/ 
 
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