大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第51号− 2007年11月30日発行


ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒)について

 ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒)とは、アレルギー反応の介在物質であるヒスタミンを大量に含んでいる赤身魚を食べて起こる化学性食中毒です。食べてから30分ほどで顔面紅潮や発疹、吐き気などの食物アレルギーと同じような症状がみられます。原因となるのは、マグロ、シイラ、イワシ、サバ、カツオなどの赤身魚(青魚)であり、これらの魚は魚肉中に大量のヒスチジンを含んでいます。特定の細菌(ヒスタミン生成菌)により魚肉中のヒスチジンがヒスタミンに変換されて食中毒が引き起こされます。

 ヒスタミン生成菌の検査は難しく、現在までにヒスタミン食中毒事件において実際に分離されたのは腸内細菌科に属する細菌3菌種と海洋性細菌1菌種だけです。腸内細菌科細菌は本来、人間や動物の腸管内に生息している細菌ですが、私たちの周りの環境にもごく普通に存在しており、私たちが普段買っている魚にも付着しています。腸内細菌科のヒスタミン生成菌は、気温の高い時に魚肉中にて発育してヒスタミンを生成するので、赤身魚の干物や加工品の室温での長期保存や、その製造過程において温度管理を誤るとヒスタミンの蓄積がみられます。逆に海洋性細菌は低温でヒスタミンを生成するので、冷蔵庫での2週間以上の保存などには注意が必要です。ヒスタミン食中毒は冬にも発生が見られますが、これは海洋性細菌によるものと考えられます。

 ヒスタミン食中毒の原因食は一昔前まではほとんどが干物でしたが、現在は食生活の変化により多岐にわたります。しかし、その中でもマグロやカジキマグロを用いた料理が目立ちます。マグロは捕ってすぐに冷凍され、流通上もほとんど冷凍されており、さらに購入後もすぐに刺身などで食べられることから、原因となる過程が見つけられないのが現状です。しかし、マグロの流通にはいくつかの業者が介入して、冷凍と解凍が繰り返されるので、そのわずかの隙に細菌が発育するのかもしれません。この原因究明は今後の検討課題だと考えています。

(細菌課 神吉)


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